マレン・モリスがグレッグ・カースティンと作り上げた最新アルバム「Humble Quest」で改めてカントリーを追求

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洋楽コラム

マレン・モリスがグレッグ・カースティンと作り上げた最新アルバム「Humble Quest」で改めてカントリーを追求
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Maren Morris(マレン・モリス)が3年ぶりとなる最新アルバム『Humble Quest(ハンブル・クエスト)』を3月25日(金)にリリースします。

2016年のメジャーデビューからこれまでにリリースした過去2作のアルバム「Hero(ヒーロー)」、「Girl(ガール)」共にヒットし、カントリーアーティストでありながら2018年にはZedd(ゼッド)とGrey(グレイ)と共にダンスポップナンバー「The Middle(ザ・ミドル)」をヒットさせました。

『Humble Quest』ではGreg Kurstin(グレッグ・カースティン)と共に楽曲制作を行い、改めてカントリーを追求した作品としてリリース前から注目が集まっています。

グレッグ・カースティンの挑戦

グレッグ・カースティンは主にポップスのプロデューサーとして知られており、Adele(アデル)の「25」、Sia(シーア)の「Chandelier(シャンデリア)」などの大ヒット曲をプロデュースしてきた実績を持ちます。

マレン・モリスともこれまでにシングル「Girl(ガール)」、「The Bones(ザ・ボーンズ)」のプロデュースを担当しており、どちらも大ヒットを記録しています。

YouTubeMaren Morris - GIRL - YouTube

YouTubeMaren Morris - The Bones - YouTube

そこで今回、アルバム制作するにあたりプロデュースを担当することとなったため、最近のカントリーミュージックの傾向を研究することとなり、マレン・モリスはグレッグにここ数年の名曲としてEric Church(エリック・チャーチ)の「Chief(チーフ)」、Miranda Lambert(ミランダ・ランバート)の「Revolution(レヴォリューション)」、Lee Ann Womack(リー・アン・ウォマック)の「There's More Where That Came From(デアズ・モア・ホエア・ザット・ケイム・フロム)」を聞くようにすすめたそうです。

その上でグレッグがどういった形でプロデュースをしたのか。今年の1月にリードシングル「Circles Around This Town(サークルズ・アラウンド・ディス・タウン)」がリリースされました。

YouTubeMaren Morris - Circles Around This Town - YouTube

コンセプトは、テネシー州ナッシュビルに引っ越してレコーディング契約を結ぶというマレン・モリスの道を描いた、カントリーの成功への道のりを振り返ること。

曲作りは2020年の秋に夫でカントリーミュージシャンのRyan Hurd(ライアン・ハード)とJulia Michaels(ジュリア・マイケルズ)とともに行いました。COVID-19のパンデミックが始まって以来、彼女が直接共同執筆したのはこれが初めてでした。

グレッグはプロデュースを行い、マレン・モリスと一緒にレコーディング。マレン・モリスらしい1曲に仕上がりました。

ただこれまでもシングルはプロデュースをしてきたグレッグが今回アルバムのプロデュースを行うことになったのは、これまでマレン・モリスのデビューからのアルバム2枚をプロデュースしてきたBusbee(バスビー)の死が最も影響しているかもしれません。

Busbee(バスビー)の死

バスビーの死はカントリーミュージック界においても衝撃的な出来事で、ナッシュビルを揺さぶりました。

マレン・モリスもバスビーの死は音楽的、感情的、そして叙情的に、私に絶対的な変化をもたらしたとコメントしています。

多くの楽曲をプロデュースしてきたバスビーですが、主にマレン・モリスの楽曲に関わってきていたため「マレン・モリスのプロデューサー」として主に知られていましたが、2019年の夏に脳腫瘍の一種である膠芽腫と診断され、9月に亡くなりました。

彼はこれまで非常に多くのカントリーソングをプロデュースしてきた実績があり、ロサンゼルスで5年間ポップソングに取り組み始め、その後ナッシュビルへ。幅広いアーティストのために執筆および共同執筆を行ってきました。そして初めてグラミー賞にノミネートされた曲がマレン・モリスのデビュー曲「My Church(マイ・クランチ)」でした。

YouTubeMaren Morris - My Church - YouTube

『Humble Quest』を作る前からも十分にマレン・モリスの良さを前面に押し出してきたグレッグにとって、バスビーのようにポップス出身であるカントリーのプロデューサーとしての共通点もあることから、グレッグは比較的自然な流れで制作に入っていけたのかもしれません。

様々な経験に基づくアルバム

マレン・モリスは2020年に息子のヘイズを出産。その後パンデミックと相まって、産後うつ病の発作とも戦っていたそうですが、奇しくもパンデミックの影響でツアーもなくなり、家族との時間が増えたことで共有した時間などにも触れている今作。

『Humble Quest』はバスビーの死、出産、夫との関係、グレッグとのアルバム制作などあらゆる経験に基づいて作られたアルバムになっており、これまでで最も濃厚であることは間違いありません。そしてこれらの経験をしてきたからこそ見えてくる希望すら感じさせてくれるかもしれません。

『Humble Quest』は3月25日(金)リリース。

YouTubeMaren Morris - Background Music - YouTube

■『Humble Quest』トラックリスト
1. Circles Around This Town
2. The Furthest Thing
3. I Can't Love You Anymore
4. Humble Quest
5. Background Music
6. Nervous
7. Tall Guys
8. Detour
9. Hummingbird
10. Good Friends
11. What Would This World Do?

WRITER

酒井裕紀

洋楽まっぷ管理者。米・英の音楽チャートなどのデータを好み、70年代から最新の洋楽までヒット曲なら幅広い知識を持つ。時代毎の良さがある洋楽の魅力を少しでもわかりやすくご紹介できればと思います。