イギリスの伝説的バンドThe Beatles(ザ・ビートルズ)のリーダーで、平和運動家としても活躍した時代を代表するスーパースターJohn Lennon(ジョン・レノン)が妻オノ・ヨーコと離れていた「The Lost Weekend(失われた週末)」の18カ月間の真実と奇跡の日々を描いたドキュメンタリー『ジョン・レノン 失われた週末』の大ヒットを記念して、シネクイントにてオノ・ヨーコと親交のあった写真家の松本路子氏とビートルズ研究家、藤本国彦氏登壇のトークイベントが5月29日(水)18時40分の回の上映後に開催された。
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オノ・ヨーコとも親交があった松本氏は、1974年の「失われた週末」の時期にダコタハウスに滞在、ヨーコを撮影した写真家だ。
作品を観た松本氏は「当時オノさんが『ジョンは私と離れる必要があって、今は私が与えた“試練の時”なのよ』とお話されていたのが記憶に残っています。その“試練”の時期のジョンの様子が垣間見られて興味深かったですね」と、ヨーコの言葉の背景を映画を通して知ることになったと語った。
藤本氏は「見方によって印象の変わる、それぞれの人生や人間模様が伝わってくる映画。ジョンとヨーコのアルバム『ダブル・ファンタジー』に、ヨーコが74年に書いた『Hard Times Are Over』という曲があって、Hard Timesというのはまさに“試練の時”という意味合いだと思うんですけど、様々な思いがヨーコさんにもあったのだろうし、メイ・パンさん、ジョン、ジュリアンにもそれぞれあったのだということが伝わってくる」と指摘した。
写真家を目指し始めた頃に、周囲から「女性がカメラマンになるのは難しい」と言われたことで“女性の生き方”に興味を持ち、様々な女性の写真を撮り始めたと言う松本氏は、「最初はオノさんのお話が印象に残っていたので、この時期にジョンは何をしていたのかな?ということが気になっていましたが、映画を観終わったときに、これは一人の女性の物語でもあるなと胸に迫るものがありました。メイさんが背負ってきた18カ月の重みに気持ちが寄り添っていくような気がしました」と語る。松本氏は、現在映画監督として、フランス系アメリカ人のアーティスト、ニキ・ド・サンファルの作品と生涯をたどる映画制作を進めており、ひとりの女性にフォーカスした映画に関心があるからかも知れないと補足した。
© 撮影 松本路子
© 撮影 松本路子
© 撮影 松本路子
藤本氏も「初めて見る写真がたくさん」あると驚く、松本氏が撮影したオノ・ヨーコの写真とともに、「失われた週末」の時期に、松本氏がヨーコと共に過ごしたダコタハウスでのエピソードも紹介された。「映画では違う言われ方をしていましたが、滞在中にジョン・レノンから電話がかかってきたことも何回かありました。『カメラマンを家に泊めて大丈夫か?』とジョンに言われたのよ、と笑いながら言っていました」という知られざるエピソードが飛び出すと観客からは驚きの声が上がった。
その後、1980年代にワシントンやニューヨークで偶然出会い、90年代以降も何度か彼女を撮影する機会があった。ダコタハウス滞在当時は20代だったという松本氏は、当時のヨーコの年齢になった頃から彼女の言葉が実感され、特に「『自由っていうのにも枠があって、その枠はどんどん外していけるのよ』というヨーコさんの言葉に励まされてきた」と語り、イベントを締めくくった。
1973年秋からの18カ月、ジョンはどこで何をしていたのか―。「失われた週末」は本当に「失われ」ていたのか。その真実に迫る奇跡のドキュメンタリー『ジョン・レノン 失われた週末』は大ヒット公開中。
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■作品情報
監督:イヴ・ブランドスタイン、リチャード・カウフマン、スチュアート・サミュエルズ
出演:メイ・パン、ジョン・レノン、ジュリアン・レノン、ポール・マッカートニー、デヴィッド・ボウイ、エルトン・ジョン
2022年/アメリカ/英語/94分/カラー/1.85:1/5.1ch
原題:The Lost Weekend:A Love Story
字幕:松浦美奈
字幕監修:藤本国彦
配給:ミモザフィルムズ
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