全英チャートで快進撃を続けるオリヴィア・ディーンの魅力

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洋楽コラム

全英チャートで快進撃を続けるオリヴィア・ディーンの魅力
Photo Credit Gwen Trannoy

ロンドンの北部にあるハーリンゲイ出身のシンガー・ソングライター、オリヴィア・ディーン。

最新の全英シングルチャートで2021年のアデル以来、トップ10に3曲同時にランクインした初の英国人女性となりました。

9月26日(金)に発売を控える2枚目のスタジオ・アルバム『The Art of Loving』からの先行シングル「Man I Need」が2位を獲得し、自身初のトップ3入りを達成。同アルバム収録曲「Nice to Each Other」、「Lady Lady」、さらにサム・フェンダーとのコラボ曲「Rein Me In」もヒットし、いずれもトップ10入り。

デビュー以来注目を集め続けてきた彼女が、2025年ついに本格的なブレイクを果たしました。

早くから注目を浴びた才能

オリヴィア・ディーンは16歳で作曲を始め、ギターとピアノを独学で習得。2018年10月にデビューシングル「Reason to Stay」をリリースし、2019年には1st EP『OK Love You Bye』を発表。これがきっかけでEMIと契約を結びます。

2020年にはロックダウン中にバスを改造した自作スタジオから「From Me To You」企画を配信。BBC Radio 1やBBC Radio 2に取り上げられるとともに、「BBC Introducing」枠でのオンエアを通じて全国規模で注目を集めました。同年12月には2nd EP『What Am I Gonna Do On Sundays?』を発表。収録曲「The Hardest Part」は国外でも聴かれるようになり、評価を広げていきます。

さらに2021年にはAmazon Musicの「Breakthrough Artist」に選出され、Amazonクリスマス・オリジナルズ・ラインナップのために発売したナット・キング・コールのカバー「The Christmas Song」が全英シングルチャートで19位を記録。毎年クラシック曲が上位を独占するホリデーシーズンに新曲で食い込むのは異例のことで、彼女の存在感を強く印象づけました。

デビュー・アルバムで一躍メインストリームへ

2023年にリリースされた1stアルバム『Messy』は、全英アルバムチャートで4位を獲得。これにより“期待の新人”から“人気シンガー”へと地位を確立します。

翌2024年にはブリット・アワードで3部門、マーキュリー賞にもノミネート。さらに POP Magazine、The Evening Standard、Vogue Singapore の表紙を飾り、British Vogue 7月号では特集が掲載されました。フェス出演も続き、コーチェラでの初パフォーマンス、BBC Radio 1主催「Big Weekend」、そしてグラストンベリーではピラミッド・ステージに立つなど、大舞台での活躍が続きました。

日本でも人気が高まり、2024年にはSUMMER SONIC出演と初単独来日公演を実現。ライブを通じて国内でも支持を広げました。

2025年、怒涛の快進撃

ストリーミングでの人気が右肩上がりとなる中、映画『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』の主題歌に新曲「It Isn’t Perfect But It Might Be」が起用されました。ディーンはこの機会について次のようにコメントしています。

「『ブリジット・ジョーンズの日記』の映画はずっと大好きで、時代を超えた名作だと思います。『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』を観た後、ブリジットが何年もかけて歩んできた旅にとても感動しました。「It Isn't Perfect But It Might Be」は、悲しみの後に再び愛そうとする自分を許すこと、そしてたとえ期待通りでなかったとしても、結局は上手く行くと信じることについて歌った曲です。このような機会に参加させてもらうのは初めてで、公開が待ちきれません!」

本作は全英シングルチャートで36位にランクインし、オリジナル楽曲としては初めてトップ40入りを果たしました。

その勢いのまま、2ndアルバム『The Art of Loving』から「Nice to Each Other」(28位)をリリース。続くサム・フェンダーとの「Rein Me In」が6位を記録し、彼女にとって初のトップ10ヒットとなりました。「Lady Lady」も38位に入り、そして「Man I Need」が2位を獲得。結果として3曲同時トップ10入りという歴史的快挙を達成しました。

Olivia Dean - Nice To Each Other - YouTube

Sam Fender - Rein Me In (feat. Olivia Dean) - YouTube

Olivia Dean - Lady Lady - YouTube

Olivia Dean - Man I Need - YouTube

さらに2023年のアルバム収録曲「Dive」も再浮上し31位にランクイン。チャートの上限ルールがなければ「The Hardest Part」もトップ40に届いていた可能性があると指摘されています。

オリヴィア・ディーンの魅力

オリヴィア・ディーンの人気は、単に歌声や音楽性の評価にとどまりません。彼女自身の人柄やアーティストとしての姿勢が、幅広い世代に共感を呼んでいます。

まず大きな魅力は、率直で誠実な表現です。恋愛や別れ、葛藤や希望といったテーマを飾らない言葉で歌に込めることで、同世代の若者だけでなく幅広いリスナーの心を掴んできました。「The Hardest Part」や「Nice to Each Other」といった楽曲には、日常の中で誰もが抱く不安や思いが込められており、共感を呼んでいます。

そこに加わるのが、ソウルフルでありながら親しみやすい歌声です。力強さと繊細さを併せ持つ歌唱は、R&Bやジャズ、ポップスを自在に横断し、聴く人を自然と引き込んでいきます。

また、ライヴ・パフォーマンスの魅力も見逃せません。派手な演出に頼らず、シンプルに音楽そのものと向き合う姿勢は観客に誠実さを感じさせ、評価を高めています。本人もライヴをやるのが本当に大好きだと語っており、観客との一体感を「スピリチュアル」と表現しながら人生で一番“役に立っている”と感じると述べています。

さらに、ファッション誌やカルチャーメディアで特集されるなど、ナチュラルでありながら洗練された存在感も支持を広げる要因となっています。

こうした複合的な要素が重なり合い、オリヴィア・ディーンは今や単なる“注目のシンガー”を超え、時代を象徴するアイコンのひとりとしての地位を築きつつあると言えそうです。

参考情報
The art of Olivia Dean
Put It In A Love Song: Olivia Dean Interviewed

WRITER

洋楽まっぷ編集部

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