ジェニファー・ハドソンだからこそ実現した映画『リスペクト』で体現した波乱万丈の人生とは?

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洋楽コラム

ジェニファー・ハドソンだからこそ実現した映画『リスペクト』で体現した波乱万丈の人生とは?
IMAGE VIA:Variety

Jennifer Hudson(ジェニファー・ハドソン)がローリング・ストーン誌が選ぶ「史上最も偉大な100人のシンガー」の第1位に選ばれた伝説的歌姫Aretha Franklin(アレサ・フランクリン)を演じたことでも話題となった映画『リスペクト』。

COVID-19パンデミックの影響で大幅な延期から昨年11月、ようやく公開。そして3月25日にBlu-ray&DVDの発売も決定しました。

ジェニファー・ハドソンの演技や歌唱シーンなどすべてのパフォーマンスが絶賛された今作。アレサ・フランクリンの波乱万丈な人生を見事に体現したジェニファー・ハドソンもまた、波乱万丈な人生を歩んでいます。

『ドリームガールズ』に抜擢されるまで

ジェニファー・ハドソンと言えば、2006年(※日本では2007年)の映画『ドリームガールズ』で「主演のビヨンセを食った」と絶賛されたことで一躍スターダムにのし上がったことが印象的です。

それまでの生い立ちを簡単に振り返っていきます。

イリノイ州シカゴで生まれジェニファーは、祖母が聖歌隊のメンバーだったこともあり、幼い頃からショーやミュージカルに出演。2002年、21歳の時にシカゴを拠点とするインディーズレコードレーベル、ライチャス・レコードに5年契約で署名しますが、2004年にアメリカン・アイドル、第3シーズンのオーディションを受けるため、契約を解除します。

しかしジェニファーは、『ドリームガールズ』でブレイクした、というだけあってアメリカン・アイドルではいい結果を残せませんでした。ファイナリスト12名は残りましたが、Barry Manilow(バリー・マニロウ)の「Weekend in New England」をパフォーマンスで投票数が得られず脱落。ただ客観的に彼女の実力は絶賛されており、MTVはアメリカン・アイドル史上6番目に大きな出場者として挙げ、彼女の退場は史上最も衝撃的だったとコメント。ロサンゼルスタイムズは、ショーの歴史の中で3番目に偉大なアイドルの出場者だったと報道するなど、既に実力は証明されていました。

実際の映像を見ると、最初緊張していたのかキーのズレは声量の小ささなどを感じます。ただコーラス部分に入ってからの本気モードは圧巻です。

Jennifer Hudson – Weekend In New England – YouTube

ちなみに第3シーズンの勝者はFantasia Barrino(ファンテイジア・バリーノ)。彼女もブレイクから苦労を重ねどん底を経験しますが現在も活動しています。

話しは戻って、アメリカン・アイドルの脱落後、2005年に『ドリームガールズ』のオーディションに参加します。このとき、ファンテイジア・バリーノも参加していたそうですが、782名の参加者の中から審査員の満場一致で選ばれ、エフィー・ホワイト役を獲得しました。

結果として第64回ゴールデングローブ賞、第79回アカデミー賞でそれぞれ助演女優賞を受賞し、サウンドトラック・アルバムからは「And I Am Telling You I’m Not Going」がビルボードのダンス・クラブ・ソングス・チャートで1位を獲得。「Love You I Do」がアカデミー賞でビヨンセが歌う「Listen」と共にノミネートされました。

ここからが波乱万丈

ジェニファーは苦労を重ねるも『ドリームガールズ』で結果を残したことで2006年11月、アリスタ・レコードとの契約を結び、2008年にデビューシングル「Spotlight」をリリースします。

Jennifer Hudson – Spotlight – YouTube

ここまで苦労の末、順調にブレイクしていたジェニファーでしたが、この後の人生に波乱が潜んでいます。

リアリティ番組『I Love New York 2』に出演していたWWEのプロレスラー、David Otunga(デヴィッド・オタンガ)と交際を始め、2008年9月に婚約を発表。この翌年デヴィッド・オタンガ・ジュニアを出産。2017年に息子の親権を巡って泥沼化の様相を呈し、決着は法廷にまで持ち込まれることとなります。

そして婚約発表の翌月の2008年10月24日、ジェニファーの57歳の母親ダーネル・ドナーソンと29歳の兄弟ジェイソンがジェニファーの姉ジュリアと共有したシカゴの家ドナーソンの中で射殺されたのが発見されます。さらに3日後、現場から盗まれたとされ手配されていたSUV車がシカゴ市内で発見。車内から男児の死体が見つかり、行方不明になっていたジェニファーの甥、彼女の7歳の甥であるジュリアン・キングであることが家族によって確認されました。

犯人は姉ジュリアの元夫、ウィリアム・バルフォアでした。ウィリアムは1度の殺人3件、住居侵入1件で起訴。彼に対する7つの罪すべてで有罪判決を受け、2012年7月、彼は仮釈放の可能性なしに3つの終身刑を宣告され(連続して服役される)、その後さらに120年の有罪判決を受けました。

後のインタビューで、婚約者のデヴィッドが「WWE」のイベントに誘われてフロリダへ行っていたことを話しており、もし誘われていなければ母親と共にシカゴの家にいる予定だったそう。

この事件については数年にわたってコメントを控えてきたジェニファーですが、この人生の短い期間のあいだに多くの喜びと悲しみを経験するという、第三者の視点から見ても精神的な負担を乗り越えてきたという凄さを感じます。

人生を体現できる歌唱力

映画『リスペクト』では、アレサが生前から計画していたプロジェクトで、主演には是非ジェニファーを、と公言していました。ジェニファーもこの作品に参加できることを心待ちにしていた様で、1年公開が延期になったことくらいなんてことないと語っています。

アーティストの伝記映画を体現するには、歌唱力や演技力の質の高さが求められますが、アレサ・フランクリンを見事に演じたジェニファーは、ブレイクから約15年の人生で経験してきた多くのことがあきらかに反映されており、今だからできた作品に仕上がっているのかもしれません。

『リスペクト』予告 – YouTube

歌唱力がやばいパフォーマンス4選

2010年、The BET Honorsに出演しWhitney Houston(ホイットニー・ヒューストン)が見てる目の前で「I Will Always Love You」を披露しました。この時28歳。

Jennifer Hudson – I Will Always Love You (BET Honors 2010) – YouTube

そして2012年、第54回グラミー賞では前日に死去したホイットニー・ヒューストンに捧げるために再びパフォーマンスを披露しました。

Jennifer Hudson performs tribute to Whitney Houston (2012) | ABC News – YouTube

2018年、アレサの葬儀では「Amazing Grace」を披露。

WATCH: Jennifer Hudson performs ‘Amazing Grace’ at Aretha Franklin’s funeral – YouTube

そして映画『リスペクト』のプロモーションで出演した番組で「Respect」を披露。

Jennifer Hudson “Respect” – YouTube

他にもジェニファーが生でパフォーマンスする、というだけで見る価値のあるものばかりですが、特に印象的な4つをご紹介いたしました。

歌手でもあり女優でもあるジェニファー

ジェニファー・ハドソンとしては2014年に3枚目のスタジオ・アルバム「JHUD」をリリースして以降、アルバムのリリースは行っていませんが、1年に1本のペースで映画に関わっていたり、テレビ番組にもたまに出演していたりと活動を続けています。

これまでにキャリアを通じて、アカデミー賞、2つのグラミー賞、デイタイムエミー賞、ゴールデングローブ賞、全米映画俳優組合賞など、音楽と演技の両方でさまざまな称賛を受けてきたジェニファー。

これからも彼女の活躍に目が離せません。

WRITER

酒井裕紀

洋楽まっぷ管理者。米・英の音楽チャートなどのデータを好み、70年代から最新の洋楽までヒット曲なら幅広い知識を持つ。時代毎の良さがある洋楽の魅力を少しでもわかりやすくご紹介できればと思います。

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