デビューしてから59年間、アイルランド音楽の最前線を走ってきたThe Chieftains(ザ・チーフタンズ)のリーダー、パディ・モローニが今年の10月11日に亡くなりました。追悼の意を込めて、今回の記事ではチーフタンズのアルバムの中でも私がおすすめしたいアルバムを紹介していきます。
改めて聴きたいチーフタンズのアルバム3選
1・Voice Of Age
2012年に発売した多くのミュージシャンとコラボしたアルバム。The Low Anthem(ザ・ローアンセム)やCivil War(シビル・ウォー)など様々な国のフォークバンドやケルトバンド、バグパイプのヘンドリックスと呼ばれたカルロス・ヌニェスやNASAの宇宙飛行士のキャディ・コールマンなど交流のあった多くの人々と制作されたお祭り要素の強いアルバムです。収録された楽曲によって楽器はもちろん音楽性も異なる15曲から構成され、様々なジャンルのミュージシャンが酒場で演奏しているような陽気なアルバムとなっています。発売年が50周年ということもあり、アルバムの楽曲が国際宇宙ステーション内でフルートを用いて演奏されるなど大々的に宣伝されました。
2・San Patricio
The Chieftains - March to Battle - Oslo 2018 - YouTube
2010年に発売したアメリカのミュージシャン、ライ・クーダがプロデューサーとして参加したアルバム。米墨戦争(アメリカとメキシコの戦争)でメキシコ側として戦うためにアメリカ軍を捨てたアイルランドの移民義勇兵のグループであるサンパトリシオ大隊がモチーフになりました。伝統的な楽曲が多いなかにチーフタンズらしいティンホイッスルやフィドルなどのテクニカルなフレーズがアクセントとなった新しさと伝統が混在するアルバムとなっています。
3・Santiago
Sean Keane & The Chieftains with Isle of Hope, Isle of Tears - YouTube
1996年に発売したスペイン北西部、ガリシアの伝統音楽がテーマになったアルバム。ガリシア州の伝統音楽の特徴の1つである、重低音よりもバグパイプやティンホイッスルなどのリード楽器を重ねてリズミカルに演奏する独特のスタイルを見事に表現したチーフタンズの中でも民族音楽感の強いアルバムです。ライ・クーダやカルロス・ヌニェスなどのゲストと演奏される「最も未知のケルト音楽」とパディ・モローニが表現したガリシアの世界観を見事に再現したアルバムであり、アルバム発売の翌年にはグラミー賞のベスト・オブ・ワールドミュージック賞を授与しました。
まとめ
チーフタンズのおすすめアルバムを紹介させていただきました。紹介したアルバム以外にも中国の民族楽器を多く使ったアルバムやローリング・ストーンズとコラボした楽曲などパディ・モローニが作曲した魅力的な楽曲が多くあります。この機会にアイルランド音楽をよく聴く方もあまり聴かない方も1度、チーフタンズの音楽を聴いてみてはいかがでしょうか。