イギリスのシンガーソングライター、Mimi Webb(ミミ・ウェッブ)のデビューEP「Seven Shades of Heartbreak(セヴン・シェイズ・オブ・ハートブレイク)」が先週10月22日にリリースされました。
日本ではまだまだ知られていないMimi Webbですが、デビュー作として彼女の魅力がつまった作品となっています。
全英シングルチャートでトップ10入りを果たしたヒット曲「Good Without(グッド・ウィズアウト)」はご存知の方もいるかもしれません。
「これはおすすめしたい!」と思える作品に仕上がっているため、是非聴いて頂きたい作品です。
まず簡単にMimi Webbのプロフィールをご紹介しましょう。
Mimi Webb
Mimi Webb(ミミ・ウェッブ)はイギリス南東部のケント州に位置するカンタベリー出身のシンガーソングライター。
ギターとピアノを学び、13歳で自分の曲を書き始め、現在21歳で、2020年に「Before I Go(ビフォー・アイ・ゴー)」デビューすると、1億人以上のフォロワーを持つ人気のTikToker、Charli D'Amelio(チャーリー・ダミリオ)が楽曲を使用したことでいきなり人気化します。
そして2021年にリリースされたデビューから4枚目のシングルが「Good Without」。こちらが全英チャートでトップ10入りを果たし、英国レコード産業協会(BPI)でゴールド認定を受けるヒットとなりました。
「Seven Shades of Heartbreak」レビュー
リリースについてMimi Webbは最初から最後まで物語を語る作品をまとめ、経験を語り直したいと思っていたそうで、例え英語がわからなくてもサウンドから伝わるパッケージ感が7曲合わせて1枚の作品であることを感じさせます。そして個人的な失恋について書かれた曲で構成されているため、2020年にリリースされたシングルが一切収録されていない点にもEPへのこだわりを思わせます。
1曲目に収録されたのがシングルとしてもリリースされた「Dumb Love(ダム・ラヴ)」。
Mimi Webb - Dumb Love - YouTube
初めて聴く方にとってはまず、想像以上にハスキーで大人っぽい歌声に驚くはず。そしてスローでシンプルなサウンドの中でその歌唱力を全面に押し出した楽曲そのものの良さが印象的な曲です。
90年代以降、このタイプの歌声のシンガーソングライターは主にイギリスやアメリカのカントリー界などで思い出せますが、新時代の歌手である彼女がインスパイアされたのはAdele(アデル)、Amy Winehouse(エイミー・ワインハウス)、Emeli Sandé(エミリー・サンデー)、Sam Smith(サム・スミス)、そしてジャズ/ポップシンガーのLouis Armstrong(ルイ・アームストロング)、Etta James(エタ・ジェイムズ)、Ella Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)、そしてNat King Cole(ナット・キング・コール)。
そう言われるとすべてが理解できます。そして若いシンガーであるのに30代~50代にも響きそうな楽曲作り、そして上記アーティストを好んで聴く洋楽好きの方にとってはドンピシャにはまると思うんですよね。
そしてそれが続く2曲目「24/5」で確信に変わると思います。
ピアノで始まるこの曲は細かく刻みながらも最小限のサウンドで壮大感を表現しています。そして「24/5(24時間週5日)」、つまりは毎日ですよね、「Haunted by your love(あなたの愛に悩まされる)」という歌詞で刻みながらもおぼれていく様子をサウンドでもしっかり表現してるんですよね。
ここで登場するのがスイスのプロデューサーでDJのFridolin WalcherことFreedo(フリード)。Zara Larsson(ザラ・ラーソン)やAva Max(エイバ・マックス)などの楽曲プロデュースや「Freedo Remix」と表記した多くのリミックス作品を手がけている彼がプロデュースしています。
そして3曲目「Little Bit Louder」の想像以上のポップ感。地方のCMで使われそうなポジティブなサビも印象的で、わずか2分35秒、あっという間に駆け抜けます。そして複雑なサウンドで表現した「Halfway」。この2曲はEPならではの構成だと言えます。
そしてもっと深く掘り下げる、ということもせず続く5曲目「Halfway」もなかなかポップな曲です。その勢いのまま彼女最大のヒット曲「Good Without」へ続きます。7曲入りということもありここで締めくくりに向かうような構成ですね。
Mimi Webb - Good Without - YouTube
最後の「Lonely In Love」も重すぎず軽く哀愁を残して終わります。全7曲、あっという間です。
総評としてはほとんどの曲が短いので重すぎず何度でもループできるのが特徴かもしれません。そしてEPとして考えた時に7曲すべてが聴きやすさと「あ、単純にいい曲だな」と思える作品も非常に久しぶりで、攻めすぎず守りすぎないサウンドが丁度心地よく、耳が疲れるなんてこともありません。
そして踏み込んだメロディでありながらもポップに仕上がっているので30代以上の方にも伝わりやすいサウンド作りとなっており、歌詞の意味が分からない方でも、女性はもちろん男性であっても十分に楽しめる作品なのではないかと思います。
■「Seven Shades of Heartbreak」トラックリスト
1. Dumb Love
2. 24/5
3. Little Bit Louder
4. Heavenly
5. Halfway
6. Good Without
7. Lonely In Love