2021年上半期のイギリス1位獲得ジャンルを見てみると、ロックが堂々たるトップです。
2021 | 2020 | 2019 | 2018 | |
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ロック | 12 | 19 | 12 | 3 |
ポップ | 12 | 24 | 37 | 40 |
R&B | 1 | 1 | 1 | 0 |
ヒップホップ | 1 | 8 | 2 | 8 |
「ロックが復活した」とも騒がれているイギリスのミュージックシーンで一体何が起きているのか。
音楽シーンを取り巻く環境と共に背景を探っていきます。
イギリスでUKロック人気が復活した理由その1:「パンデミック×ロックレコード」
UKシーンにとどまらず、コロナウイルスの感染拡大による音楽シーンの低迷は激しいものです。
ライブ・アルバムリリースの延期や中止。そしてCDショップの閉店など、音楽シーンは現在進行形で氷河期を迎えています。
しかし、その中でイギリス内では“ロックのアナログ・レコード”は売り上げを伸ばすという驚愕の結果に。
レコードで音楽を聴くような「深いファン」は、パンデミックでも変わらずに質の高い音楽を求め続けたのです。
2020年9月までに売れたレコードの上位リストを見てもロックの根強さが伺えます。
参考:「The Official Top 40 best-selling vinyl albums and singles of 2020」
「CDが売れなくなったけどロックのレコードが売れている」
この理由だけきくと何だかあっけないものに聞こえますが、逆に言えばロックが持つ底力をパンデミック下でも感じられる出来事とも言えます。
イギリスでUKロック人気が復活した理由その2:「ストリーミング×インディー音楽」
イギリスで「ロックの復活」が謳われた近年、とりわけインディー作品の躍進が目立ちます。
2021年(1月-3月期)アナログ・レコード市場では39.8%、CDでは32.5%、ストリーミングでは25.8%がインディー作品で消費されました。
参考:「FANS FLOCKING TO UK INDEPENDENT LABELS’ MUSIC ACROSS STREAMING AND PHYSICAL FORMATS」
元々インディーのロックシーンが盛んなイギリスにおいて、“インディー音楽の人気=ロックの人気”と呼んでも過言ではありません。
ロックダウンによるステイホーム期間は、ストリーミングやSNSでのインディー音楽の掘り下げを助長させました。
そうしてパンデミック下でロックの人気は高まっていったのです。
音楽市場でインディー音楽が伸びていくことは、リスナーとアーティストが繋がる機会を多く設けているという見方ができます。
コロナ禍だからこそ、音楽とリスナーの密接な関係性を保てたのです。
1.ストリーミング等による音楽の発見⇒
2.熱心に音楽を聴くファン層の獲得⇒
3.レコードという「所有感を満たすアイテム」の流行
このループが完成したことが、近年のイギリス国内におけるUKロック人気の背景になっていると言えるでしょう。