チャーリーXCXを改めて深掘り…今の世界を生きるポップスターの人生を表現した最新アルバム『CRASH』が今週金曜にリリース!

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洋楽コラム

チャーリーXCX(読み方:チャーリー・エックス・シー・エックス)の5枚目のスタジオ・アルバム『CRASH(クラッシュ)』が今週金曜にリリースされます。約2年ぶりとなる今作は、既に先行シングルとして5曲がリリースされており、アトランティック・レコードとの現在のレコード契約の下でリリースされるのは彼女の最後のアルバムになります。

今の世界を生きるポップスターの人生を表現しているという今作は、成功における名声からチャーリーのこれまでの人生を反映させています。

14歳で曲を書き始めたチャーリー

イングランド東部、エセックスのスタートヒルで育ったチャーリーは、Spice Girls(スパイス・ガールズ)やBritney Spears(ブリトニー・スピアーズ)などのポップアクトを好み、興味を持っていました。14歳で曲を書き始めたチャーリーは、両親にファーストアルバムを録音するためのローンを組んでほしいと説得し、2008年、16歳の時アルバムの曲やその他の多数のデモをMyspaceの公式ページに投稿し始めました。

これをきっかけにレイブやパーティーを運営しているプロモーターの注目を集め、彼女を公演に招待。若い頃のMSNメッセンジャーの表示名であるCharli XCX(チャーリーXCX)という芸名でチラシを作りました。『XCX』は『Kiss Charli Kiss』の略語だそうです。

ギグの違法な性質にもかかわらず、両親はチャーリーを支持し応援してくれたそうです。

18歳でレーベルと契約

2010年にアサイラム・レコードと契約。この時期チャーリーはUCLのスレイド美術学校で美術の学位を取得するためにロンドンに移っていましたが、2年目に中退。学校に通っていた時はレイブシーンから抜け出したばかりで、どうすればいいのか分かっていなかったと後に述べています。

契約したはいいけどポップ・ミュージックが嫌いで、バッド・ラップ・ミュージックを作りたかったとしながらも何を作りたかったのかが明確にわかっていなかったそう。方向性を掴んだきっかけは、ロサンゼルスでアメリカのプロデューサー、Ariel Rechtshaid(アリエル・レヒトシャイド)と会ったこと。2時間のセッションで「Stay Away」という曲ができたとき、「物事が一緒になり始めた」と感じたそうです。

学校を中退した2011年、「Stay Away」をシングルとしてリリース。アサイラム・レコードからのデビューシングルとなりました。

Charli XCX – Stay Away – YouTube

音楽チャートで成功しなかったものの、音楽ウェブサイトPitchforkから注目を集め、彼女はその後リリースされたシングル「End of the World」と共に「ベストニュートラック」の称賛を獲得しました。

「I Love It」の成功

2枚のシングルとリリース後、彼女はスウェーデンのプロデューサー、Patrik Berger(パトリック・バーガー)と仕事を始めました。彼はチャーリーに2つのビートを送り、チャーリーはすぐにそれぞれの曲を書きました。

この2曲が「I Love It」と「You’re the One」。

「You’re the One」は自身のシングルとしてリリースしましたが、「I Love It」は自分のサウンドと調和させることができなかったため、いわゆるボツ曲扱いとなっていました。

しかし翌2012年、スウェーデンのデュオIcona Pop(アイコナ・ポップ)が曲を再録音し、彼女のボーカルをフィーチャーしたシングルとしてリリースするといきなり世界的な大ヒットとなります。

Icona Pop – I Love It (feat. Charli XCX) – YouTube

アイコナ・ポップとは元々ロンドンでパトリックを通じて数回会っており、アイコナ・ポップのアルバムを制作を行っていた段階でパトリックが持ち寄ったことでアイコナ・ポップが録音することになりました。

どのくらいヒットしたかと言うと、全英シングルチャート1位、ビルボードホット100で7位、その他多くの国でトップ3入りと、チャーリーにとってはすべての国で初めてのチャート入りを果たしました。

チャーリーはそもそもボツ曲にしていたこともあって、後のインタビューでも「史上最悪の曲だと思っていた」と語っており、記録として残していた声を再編集してゲストとなっただけだといい、チャーリーにとっては意図しないヒットであった以上に、あくまで「デュオのヒット曲」と考えているようです。

このヒットの後に「You’re the One」をリリースしますが、チャート入りを果たせませんでした。翌2013年にデビュー・アルバム『True Romance』をリリースしています。

音楽業界に不満を感じ苦悩

2枚目のスタジオ・アルバムの制作はかなり難しいものになりました。音楽業界に不満を感じた彼女は、インドに行ってレコーディングしたいと言ったその2ヶ月度にはフランスでレコーディングしたいと気持ちが変わってしまい、レーベル側もコロロロ意見が変わってしまうため困惑してしまい、結果としてチャーリーは孤立。

最終的にはスウェーデンに行き、パトリック・ベルゲルと一緒にアルバムに取り組むも、結局破棄。ポップ志向になりすぎてしまったことが原因だったようです。

苦悩の中で完成させたリードシングル「SuperLove」でソロで初めて全英チャートにランクインさせましたが、アルバムのコンセプトと合わないとして結局アルバムには収録されませんでした。

Charli XCX – SuperLove – YouTube

またゲストで世界的ヒット

チャーリーにとって最大のヒットシングルとなったのは2014年、Iggy Azalea(イギー・アゼリア)とのシングル「Fancy」。

Iggy Azalea – Fancy ft. Charli XCX – YouTube

「Fancy」は以前のコラボとは大きく異なり、イギー・アゼリアと共作。ミュージック・ビデオにも出演し、ゲスト扱いでありながら全世界に猛烈にアピールしました。

その後のチャーリーはヒットを連発。同年公開された映画「きっと、星のせいじゃない。」のサウンドトラックに提供した「Boom Clap」はビルボードホット100でソロで初めてトップ10入りを果たし、続くシングル「Break the Rules」もヒット。これらを収録したアルバム「Sucker」は今現在85万枚以上を売り上げるヒットとなりました。

Charli XCX – Boom Clap (The Fault In Our Stars Soundtrack) – YouTube

Charli XCX – Break The Rules – YouTube

同名の映画『クラッシュ』からインスパイアを受けたアルバム

契約の問題もあり、2019年の段階で5枚目のアルバム制作を意識していた中、『CLASH』は1996年に公開された同名の映画『クラッシュ』からインスパイアを受けたと述べており、サウンド面では80年代のポップミュージックやポップミュージックを意識して「ポップな」サウンドを目指した作品になっています。

チャーリーがこれまで以上に彼女の音楽とそこに込められた彼女の深い感情とメッセージを増幅させるためのイメージやビジュアルを披露する、彼女史上最も激しく、センセーショナルで悪魔的なほどグラマラスなニュー・アルバム『CRASH』。

アルバム『CRASH』は3月18日(金)にリリースされ、3月30日(水)には『CRASH』国内盤CDが発売開始となります。

■『CRASH』トラックリスト
1. CRASH
2. NEW SHAPES (FEAT. CHRISTINE AND THE QUEENS AND CAROLINE POLACHEK)
3. GOOD ONES
4. CONSTANT REPEAT
5. BEG FOR YOU (FEAT. RINA SAWAYAMA)
6. MOVE ME
7. BABY
8. LIGHTNING
9. EVERY RULE
10. YUCK
11. USED TO KNOW ME
12. TWICE

WRITER

酒井裕紀

洋楽まっぷ管理者。米・英の音楽チャートなどのデータを好み、70年代から最新の洋楽までヒット曲なら幅広い知識を持つ。時代毎の良さがある洋楽の魅力を少しでもわかりやすくご紹介できればと思います。

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