デビューから30年間、数々のヒット曲を世に送り出し、まさに「生きる伝説」となった歌姫 Mariah Carey（マライア・キャリー）。そんな彼女の栄光のウラには、孤独で悲しい生い立ちがあったのです。
複雑すぎる家庭環境
1969年、ベネズエラ系の父親（黒人）とアイルランド系の母親（白人）の両親のもとに生まれたマライア。1970年代は、まだ黒人への差別が非常に激しかったころ。マライアも黒人と白人のバイレイシャル（※）として、様々な差別を受けながら育ちました。
両親はマライアが3歳のときに離婚し、彼女と兄は母親に、姉は父親にひきとられます。その後、兄は家庭内暴力に走り母親をよく殴りつけるように。あまりにもひどいため、マライアが止めにはいることもあったんだとか。また、3人兄弟の中で見た目が一番白人に近かったマライアは、兄や姉からそのことで嫉妬され、さまざまな嫌がらせをうけたそう。
（※）バイレイシャル…異なる人種の両親のもとに生まれた子供のこと
悲劇の結婚
オペラ歌手で、ボーカルコーチでもあった母の影響で、小さいころから音楽に慣れ親しんでいたマライア。ハイスクール卒業後、歌手になるためにニューヨークに単身移住し、ウェイトレスをしながら下積み時代を過ごします。
そして、とあるパーティー会場で出会ったのが当時CBSレコードの社長であった、トミー・モトーラ。彼にデモ・テープを渡したことがキッカケで、1990年にメジャー・デビューが決まったのです。
Mariah Carey - Vision Of Love - YouTube
デビュー曲「Vision Of Love（ビジョン・オブ・ラブ）」のMV
7オクターブもの声域をもつ圧倒的な歌唱力であっというまにスターダムを駆け上がったマライア。さらに1993年には、自分をスターにしてくれた、レコード会社の社長トミー・モトーラと結婚をします。彼女は、まさに人も羨むシンデレラ・ストーリーそのものの人生を歩みはじめたのです。
ところがその結婚生活、じつは幸せとはほど遠いものでした。21歳年上の夫トミーは異常なほど嫉妬深く、だんだんとマライアを束縛するように。なんと着る洋服やスカート丈まで決められていたんだとか。また2人の愛の巣には、全室に監視カメラとスピーカーが設置され、彼女は24時間監視されるように…。
不幸な結婚が生み出した名曲
そんな息がつまるような生活の中でも、マライアは次々と名曲を生み出していきます。例えば、世界で一番有名なクリスマス・ソングといっても過言ではない「All I Want For Christmas Is You（恋人たちのクリスマス）」。この曲は、不幸な結婚生活から気を紛らわそうとしたマライアが、小さいころの楽しかったクリスマスを思い出しながら書いたものなんだとか。
Mariah Carey - All I Want For Christmas Is You - YouTube
「恋人たちのクリスマス」のMV
関連記事
・マライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」は有名アーティストにカバーされまくりだった！【怒涛の13曲をご紹介】
またトミーとの結婚に嫌気がさしたマライアは、当時メジャーリーガーだったデレク・ジーターと不倫をするように。彼との情事をインスピレーションにして、多くの名曲を生みだしました。例えばビルボード・ホット・100で一位になった「My All（マイ・オール）」は、夫に内緒でいったプエルトリコへの不倫旅行について歌ったものなんだとか。
Mariah Carey - My All - YouTube
「My All（マイ・オール）」のMV
結局、1998年にトミー・モトーラと離婚したマライア。でもこの不幸な結婚のおかげで数々の名曲を聴くことができたと思うと、ファンとしては元夫にも感謝の気持ちが湧いてくるものです。
「人生いろいろ−生い立ちが複雑すぎる洋楽アーティストたち」のほかの記事
・ホールジー 貧困やメンタル・ヘルスの問題を乗りこえて、唯一無二の歌姫になるまで
・ミッシー・エリオット − 人生がつらすぎてマイケル・ジャクソンにファンレターを書いた少女時代
・リアーナ − 暴力的なオトコが好きなのは父親のせい？いまだにつづくドロドロな父娘の愛憎劇
・ニッキー・ミナージュ − 父親は殺人未遂犯、夫はレイプ魔…壮絶すぎる人生を送る歌姫
・ラナ・デル・レイ − 14歳でアルコール依存症になった“哀しい”の歌姫の生い立ち
・クリスティーナ・アギレラ − 壮絶な家庭内暴力が成功のきっかけに