2008年のデビュー以来ヒット曲を量産してきたラッパー、Nicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)。2018年には「ビルボード・ホット100」のチャートで100曲のエントリーを記録した初の女性ラッパーになる、という快挙をなしとげています。しかし彼女のその輝かしい功績のウラには、悲しすぎる幼少期の体験があったのです…
ニッキー・ミナージュのビーフの歴史はコチラ!
・こんなにケンカっ早いのはいったいナゼ?
ニッキーの母を殺そうとした父
南米のトリニダード・トバゴで産まれたニッキー・ミナージュ。アルコールと薬物依存症の父親に代わり母親が働き生計をたてていたため、ニッキーは5歳ごろまで祖母にそだてられていたようです。ニッキーが6歳のころ、母親がアメリカの永住権を取得し一家はニューヨークに移り住みます。
のちにインタビューで「アメリカにきたばかりのころ、いつもベットにひざまずいて神様に祈っていたの」「神様、どうか私をお金持ちにしてください。私がお母さんの面倒をみます。そしたらお母さんはもうお父さんと一緒にいなくてよくなりますから、ってね。」と語ったニッキー。
父親はお酒やドラッグを買うために家財道具を売るなど、やりたい放題。日常的に母親に暴力をふるい、なんと母親が中にいると知っていながら、家に火をつけ焼失させたこともあるそう。ここまでくるとひたすら、恐ろしいの一言です...。
選んだ結婚相手も“危険なオトコ”だった
それでも、パフォーマンスやアートが大好きだったニッキーを常に励ましつづけたのは、母でした。当初は女優を目指したニッキーでしたが、なかなか芽がでず…そのうえ、生計をたてるためのバイトもクビになることばかりだったんだとか。ただし、ラップの才能には秀でていた彼女は、その後ブルックリンのヒップホップ関連のグループ、Full Force(フル・フォース)と契約を結び、Lou$tar(ルースター)とSafaree Samuels(サファリ・サミュエルズ)と7even Up(セブン・アップ)で構成されたThe Hoodstars(ザ・フードスターズ)というグループでラップし始めるのです。
I love my mother more than life itself,
and that's a fact I'd give it all,あたしは母親を自分以上に愛してるの
どんなことだってするわ
ニッキーが2014年にリリースした、「All Things Go(オール・シングス・ゴー)」の歌詞には、彼女の母親にたいする強い愛がこめられています。またこの曲で、自分の人生のリアルな哀しみについて告白したニッキー。自身が高校生のときに、中絶を経験したことや、2011年に仲の良かったいとこが銃撃され亡くなったことなども、赤裸々に綴っているのです。
Nicki Minaj - All Things Go - YouTube
「オール・シングス・ゴー」の音源
そんなニッキーは2019年に結婚。ようやく幸せを手に入れたかにみえた彼女ですが、夫となったケネス・ペティの過去に世間は騒然となります。なんと彼は、15歳のときに16歳だった女性に性的暴行を働いた罪で、有罪判決を受けたことのある前科もち。また2003年には男性を射殺したとして有罪になり、7年間服役していた過去も。
2 years ago today, nicki minaj & kenneth petty god married . pic.twitter.com/ng4fLgEOg5
— ‘ (@TheeYoungChunLi) October 21, 2021
ニッキー・ミナージュと夫のケネス・ペティ
世界中からの「そんなオトコはやめておいたほうがいいのでは?」という声は結局届かずじまい。ニッキーは彼と家族になり、2020年には第一子を出産しました。ところがこんどは2021年、ケネスが過去に起こしたレイプ事件の被害者、ジェニファー・ハフがケネスとニッキーを提訴するという事態に。彼女が体験したレイプ事件についてメディアで語った後、このふたりから脅迫や、賄賂などさまざまな方法で口封じをされそうになった、というのです。衝撃的なのは、この件でニッキーがケネスの肩をもったこと。レイプ犯の味方になった彼女に世間は衝撃を受けたのです…。
かつて自分と家族を傷つけた父親について「ひどいことをした父だったけど許したの」と語ったニッキー。彼女は、複雑な家庭環境で育った“カルマ”のせいで、父親と似た男性を愛し、「彼のためにならなんでもするオンナ」になってしまったのでしょうか…。
そしてニッキーの父親に至っては、今年ひき逃げ事故で死亡してしまう、というなんとも悲しいニュースもありました。30代にして濃すぎる人生を送っている、ニッキー・ミナージュ。どうかこれからは安らかな日々が彼女におとずれることを祈るばかりです。
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