【アルバムレビュー】Rex Orange County『Pony(ポニー)』

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洋楽コラム

今回のレビューはRex Orange County(レックス・オレンジ・カウンティ)による3枚目のスタジオ・アルバム「Pony(ポニー)」

19歳で衝撃の作品『アプリコット・プリンセス』をリリースし、天才シンガーソングライターとして注目された彼のさらなる挑戦を感じる作品になっています。

今作は弱冠21歳のレックスが、ベニー・シングスやランディ・ニューマンなど前線で活躍するアーティスト達とのコラボによって、ストレートでオーガニックなソングライティング能力が発揮されています。前作で衝撃を与えたジャズ要素は控えめに、さらなる幅の広さとしてアメリカの古き良きルーツ・ミュージックやオールディーズの良さがふんだんに詰まっています。

そしてレックス自身のカントリーチックで力の抜けたボーカルがさらにそれらを引き立てて、どこまでも透き通った洗練されたグッドミュージックの宝箱のように仕上がっています。とりわけ彼をフィーチャーしているフランク・オーシャンやタイラー・ザ・クリエイターなどの影響も感じられ、ポップを突き抜けながら、近年のヒップホップやR&Bなど彼の言語として、今作には表れています。

今作は2019年11月には全米チャートにてカニエ・ウェストやポスト・マローンといったスーパースター次いで初登場ながら3位を獲得、彼の母国イギリスのチャートにおいても初登場で5位という快挙を達成しました。

楽曲に関しては、アルバム2曲目“Always ”で心地よい空気感にまず包まれました。

Hiatus Kaiyote – ‘Rose Water’ – YouTube

汚れのないヨレたビート、甘いホーンセクション、無駄のないピアノのバッキング、ここまで美しいメロディーが存在するのかというほどのボーカル。どれをとっても一流のポップソングで、思わず拍手したくなります。

そしてアルバム4曲目の“Face To Face”。

Rex Orange County – Face To Face – YouTube

この曲に関しては、私史上でもトップレベルのグッドミュージックだと感じました。ビートはダンサブルな四つ打ちなのにうるさくなく、程よい高揚感を与えてくれます。そして、レックスのボーカルの細かいメロの動かし方が本当にセンスの塊で、ここに心地よさの秘密があるように感じます。コーラスワークも素敵です。

アルバム全体を通しての感想は、前作に比べて非常にレックス自身のポテンシャルの高さ、幅の広さを強く感じました。ベッドルーム・ポップという名称だけでは形容できない、奥深さのある作品だと思います。

次作はどんなアプローチを見せてくれるのか、今後の動きが非常に楽しみなアーティストの一人です。

■「Pony」トラックリスト

1. 10/10
2. Always
3. Laser Lights
4. Face to Face
5. Stressed Out
6. Never Had the Balls
7. Pluto Projector
8. Every Way
9. It Gets Better
10. It’s Not the Same Anymore

WRITER

TOY吉

洋楽なら幅広く聴きますが特にHIP HOP、R&B、ソウル、ファンクを好みます。

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