Netflixの音楽リアリティ番組『リズム+フロー』シーズン2はもうご覧になりましたか。
今回は配信されてから2カ月近く経過していますので、ネタバレも含めてご紹介していきたいと思います。
『リズム+フロー』とは?
「リズム+フロー」は若手のラッパーたちを募り、審査員に認められた者のみが25万ドルの賞金を掴み、LAで楽曲制作やレコーディング、ライブなどに取り組めるチャンスを掴めるスター発掘のオーディション番組。シーズン1の優勝者であるD Smoke(Dスモーク)はその後自身のアルバムでグラミー賞にノミネートされるなどの活躍を見せています。
シーズン2は2部構成となり、前編は2024年11月20日、後編は2024年12月4日に配信されました。
DJ Khaled(DJキャレド)、Ludacris(リュダクリス)、Latto(ラトー)の3人がシーズン2の審査員として登場し、ゲストにはBusta Rhymes(バスタ・ライムス)、Remy Ma(レミー・マー)、Eminem(エミネム)、GloRilla(グロリラ)など豪華すぎるキャスティングで各ミッションの審査に加わります。
Rhythm + Flow Season 2 | Official Trailer | Netflix - YouTube
今回はシーズン1のように各地に若手を探しに行くスタイルではなく、各地から注目のアーティストたちがアトランタに集まり、最初のオーディション・ラウンドに望みます。バスタ・ライムスを含む4人が彼らのパフォーマンスから情熱、本物らしさ、スター性などを審査します。
オーディション・ラウンドを勝ち上がったラッパーたちはグループに分かれ、次に行われたのがサイファー。グループとしてのまとまりなども審査対象となり、ここではレミー・マーを含む4人が審査員となります。この時点でレベルの高さから審査の難しさを体感している審査員側の視点も見ものですし、歌詞を間違えてしまって落ち込むラッパーや、インパクトのある衣装で望むラッパー、順番で揉めてしまうグループなどあらゆる側面から望むラッパーたちにも注目できる内容です。
ここで選ばれた14人が次のラウンドへ進むためバスに乗りますが、行先はサプライズで明かされません。次のラウンドはラップバトルで、14人はデトロイトのセント・アンドリュース・ホールへ向かいます。デトロイトと言えばエミネム。映画『8マイル』の撮影でも使われたセント・アンドリュース・ホールでラップバトルが行われるのですが、デトロイトに到着するまでが前編のエピソードでした。
ここからネタバレ!決勝に進んだのは?
今回のシーズン2、海外ではかなり賛否を呼ぶ結果になっています。
そのきっかけのひとつになっているのがラップバトル。
ここでは14人が7人が勝ち抜けるラウンドで、ゲスト審査員としてエミネムが登場。参加者はエミネムに会えたというだけで興奮を隠せません。
そんな中で行われたラップバトルは、日本では当たり前となっているフリースタイル(即興)ではなく、きっちり事前に歌詞を作って挑みますが、次々と進む中、Dono(ドノ)とDetroit Diamond(デトロイト・ダイヤモンド)の一戦はSNSでも賛否を呼びました。結果としてはデトロイト・ダイヤモンドが勝つわけですが、ドノが負けたと思えないという声が多く発信されているんです。Xではもちろん、アメリカの掲示板型SNSのRedditでも「ドノこそが真の勝者だ」というスレッドが立ち上がるほど。
デトロイト・ダイヤモンドはその後最終ラウンドまで進むため、デトロイト・ダイヤモンドが劣っているわけではないはずですが、ドノはサイファーでも存在感を発揮し、視聴者としては間違いなくここもクリアするだろうと見ていた、筆者含めてそうなると確信している視聴者もいたように思います。
そして次のラウンドはデビューシングルを作るというもので、曲を作り、ジャケットを撮影しパフォーマンスするというもの。ここで7人から5人となりますが、ここで脱落となった2人のうち、Tia P.(ティアP)は音源で聴くと脱落したとは思えないほどかなりいい完成度なので是非聴いてみてほしいです。この7人の曲は配信されています。
5人となった次のラウンドはコラボレーション。このラウンドは既に決勝と言えるレベルのもので、敗者はいないように思います。しかしオーディション番組であることから1人が脱落。そして決勝に進んだのがこちらの4人。
Detroit Diamond
デトロイト・ダイヤモンドはラップバトルで一部の視聴者を納得させることができませんでしたが、デビューシングルでは自身の亡くなった弟に向けた楽曲で多くの人を魅了し納得させました。
Instagram : https://www.instagram.com/_detroitdiamond_/
Sura Ali
Sura Ali(スーラ・アリ)は自分に絶対の自信を持ったラッパーで、サイファーでは共に同じグループとなったドノと揉める場面もありました。その態度は決勝で微妙な空気となってしまう場面もありますが、本気で臨んでいるからこそかもしれません。
Instagram : https://www.instagram.com/the.suraali/
Jay Taj
Jay Taj(ジェイ・タージ)は最初から既にスターの貫禄があり、誰から見ても優勝候補。どのラウンドも確実にこなしていき、完成されたアーティストでした。
Instagram : https://www.instagram.com/jaytaj/
DreTL
DreTL(ドレTL)は4人の中で一番若い21歳、アトランタ出身、ラッパー。年齢差もあり他のラッパーとも明らかに経験値が違ったという点で、リズムに合わないパフォーマンス、暴走しかかるフローなど指摘を受け続けながらも勝ち上がってきました。
Instagram : https://www.instagram.com/itsdretl/
この4人の中で優勝したのがドレTL。プロデューサーとも噛み合わないまま自分のやりたいことを突き通した彼が25万ドルを掴みました。25万ドルは今の日本円に換算すると約3900万円。
しかしこの優勝がまたSNSで物議を醸しだします。
「優勝はジェイ・タージじゃないのか?」
シーズン1の場合、正直Dスモークが圧倒的だったので、番組としても高い評価を得ました。フランチャイズが拡大していったのもシーズン1の成功が大きく、『リズム+フロー』は他の国でも作られました。
それから5年ぶりとなったシーズン2では、あきらかにSNSの声が増えており、参加者のレベルも上がっています。そんな中でもこれまで圧倒的すぎる結果を残してきたジェイ・タージが優勝できなかったことでシーズン3はもう見ないなどの声まで出てくるほどになっています。
「ジェイ・タージはドレTLよりもうまくやっています。それで、何がポイントだったのでしょうか」
「二度と見ません。ドレTLがどのラウンドも通過できたのは驚きです。審査員が買収されたか、不正があったのでしょう。」
「時間内にラップもできない人がどうやって勝ったの?!私の方が彼よりラップが上手いよ! #cheatersスーラ・アリは正しかった!@Ludacris @Latto @djkhaledとてもがっかり!」
「誰かについて否定的なコメントをしても、私は何の喜びも得られませんが、JFC、審査員は@rhythmflowでドレTLに勝利を与えたとき、本当にひどい失敗をしました。文字通り、他の参加者全員の方がうまくやりました。彼は最後のパフォーマンスで良い瞬間がありましたが、ショー全体を通してとても弱かったです。」
Xにある一部のコメントの引用ですが、ここまでの声があって審査員に厳しいのは日本だけではないというのもよくわかりますね。ちなみに「スーラ・アリは正しかった」というのは自身の決勝パフォーマンスの楽曲で、「私が優勝できなければヤラセだ」といった内容のリリックを含めていたことに繋がります。
DJキャレド、リュダクリス、ラトーは全員、最終決定を下すのは非常に困難だったと認めましたが、最終的にドレTLは必要以上のものを提供したとしています。
結局のところ「審査員の好み」とも感じてしまいがちですが、決め手になったのはドレTLという人物の人間性、内面、それをパフォーマンスに落としこんでインパクトを残したことなのかもしれません。
この結果をどう見るか
解釈は様々だと思うので難しいところですが、個人的にはやはりジェイ・タージが優勝するのが筋ではないかと思ったりもしました。しかしジェイ・タージは既に成功するだろうという確信があり、番組としてスターを生み出したいと考えるならドレTLになるのかというのもわからなくもないという微妙なところ。
ただこれだけの反応でシーズン3を行うかどうかは注目です。
ドレTLはなんとDスモークとのコラボ曲を1月31日にリリースするようなのでこちらには注目です。また個人的には他の出演者の音源も是非聴いて頂きたいのですが、ジェイ・タージは11月にEP『LITTLE JERRY DEMOS』、スーラ・アリは12月にシングル「T.T.H.S.U」、デトロイト・ダイヤモンドは先週アルバム『ROTY (Rookie of The Year)』をそれぞれリリースしていますし、ドノは出演後割とすぐに新曲をリリースしていますので、サブスクでチェックしてみてほしいです。