今回のレビューはAnderson .Paak(アンダーソン・パーク)による4枚目のスタジオ・アルバム「Ventura(ベンチュラ)」。
HIP HOP色の強かった前作に比べてメロディの美しさが際立った、アンダーソン・パーク2019年のスタジオ・アルバムです。
前作『Oxnard』と大体同じ時期に完成していたというこのアルバムですが、制作のスタイルが大きく違うように思います。前作はずっしりとした重めなHIPHOPを基調とした楽曲が多いのですが、今作は彼自身も語るように、よりスイートな楽曲をメインに構成されています。
そして何より全体を通じて柔らかくとても抜けが良く、全盛期のソウルへのリスペクトがみられるアコースティックサウンドが目立ちます。また、前作にはなかったフィメールシンガー達が多数参加しており、彼女らの存在感がアンダーソンパークの制作スタイルをよりユーモア溢れるものに変えていったようです。王道のラブソングの切なさも取り入れ、70年代ソウルの現代的解釈を温もりあふれるアレンジで仕上げています。
また今作はUSビルボード200でも、カナダのアルバムビルボードでも4位を獲得し55,000枚相当のアルバム売り上げを達成、そして今作はアンダーソン・パーク初のUSトップ10アルバムとなりました。
楽曲に関しては、まずはアルバム1曲目の“Come Home”ですがイントロからとても印象的で、一気に心を掴まれました。
Anderson .Paak - Come Home ft. André 3000 - YouTube
サウンドは前作までと変わらず言わずもがな最高なのですが、やはりコーラスワークがとてもスイートで幻想的で温かい気持ちになります。後半のラップも意外性があり聴いていて楽しいです。
そしてアルバム2曲目の“Make It Better”。
Anderson .Paak - Make It Better ft. Smokey Robinson - YouTube
この曲はまず、ビートの軽快さ、ハネるノリが絶妙です。そして何よりメロディが美しすぎてそれだけで何回も聴く価値があると思います。また、モータウンの設立にも携わった伝説のシンガー“スモーキー・ロビンソン”も参加しており、そこでの化学反応も至高です。
全体として、極上のソウルミュージックが詰まった宝箱のようなアルバムで、聴けば聴くほど手放せなくなる作品だと思いました。
今後も彼の作品をレビューしていけたらと考えております。
■「Ventura」トラックリスト
1. Come Home (ft. André 3000)
2. Make It Better (ft. Smokey Robinson)
3. Reachin' 2 Much (ft. Lalah Hathaway)
4. Winners Circle
5. Good Heels (ft. Jazmine Sullivan)
6. Yada Yada
7. King James
8. Chosen One (ft. Sonyae Elise)
9. Jet Black (ft. Brandy)
10. Twilight
11. What Can We Do? (ft. Nate Dogg)