【洋楽】史上最も人気のある100のロックバンドから2000年代のバンドを紐解く

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洋楽コラム

2018年、ウォール・ストリート・ジャーナルが「The 100 most popular rock bands of all time(史上最も人気のある100のロックバンド)」という記事を掲載し話題を呼びました。

これは単に商業的な成果を算出しただけでなく、ウィキペディアの年間ページビューやストリーミングの人気など複雑に絡んだ情報を基に集計されています。

今回はこの結果で、上位100組の中で結成時期が2000年以降のバンドがわずか12組しかいないということに着目してみたいと思います。

結成時期年代別比較

1950年代 / 1組(ビートルズ[1位])
1960年代 / 24組(レッド・ツェッペリン[2位])
1970年代 / 25組(クイーン[3位])
1980年代 / 16組(メタリカ[8位])
1990年代 / 22組(リンキン・パーク[12位])
2000年代 / 12組(マルーン5[14位])
2010年代 / 0組
※括弧内は該当の年代に結成したバンドのうち最も上位にランクインしているバンド名と順位。

1950年代に結成したバンドがビートルズのみでした。改めて長きにわたって世界の音楽シーンに影響を与え続けていることがわかります。

そしてその次にランクインしたバンド数が少なかったのが2000年代でした。

この算出方法が商業的な側面(CD・レコードの売り上げ)だけではないことを考えると、2000年代以降、人々のロックへの向き合い方が確実に変わっていると言えるのかもしれません。

ランクインした2000年代結成のバンド12組

Maroon 5(マルーン5)

14位にランクインしたマルーン5は2001年に結成。彼らがロックバンドであるかどうかは賛否が分かれるかもしれないほど幅広いジャンルを取り扱って今でも人気のあるバンドのひとつです。

初期の作品では主にポップロック、ファンクロックが中心だったように思いますが、2012年のシングル「Payphone」でゲストにWiz Khalifa(ウィズ・カリファ)を迎え、初めてラッパーをゲストに迎えたR&Bを軸にした試みが大ヒットとなり、以降多くのラッパーとコラボを行っています。

今や時代に合わせながらもジャンルにとらわれない彼らが演奏したい曲(アダムがやりたい曲という側面が強いのかもしれませんが)を作り続け、ヒットシングルを多く世に送り出しています。

Maroon 5 – Payphone ft. Wiz Khalifa – YouTube

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Fall Out Boy(フォール・アウト・ボーイ)

36位にランクインしたフォール・アウト・ボーイも2001年に結成。2000年代に「エモ」というジャンルを牽引したバンドのひとつです。

決して商業的な成果が高いわけではありませんが、人気の高さはかなりのものでした。しかし個人的に少し不思議なのが、彼らがランクインしてMy Chemical Romance(マイ・ケミカル・ロマンス)がランクインしていないという点。集計が行われたのが2018年で、早々に解散してしまったのが影響しているかもしれませんね。

さて話は逸れましたが、フォール・アウト・ボーイ最大のヒットシングルとなったのが2013年の「My Songs Know What You Did in the Dark (Light Em Up)」。

Fall Out Boy – My Songs Know What You Did In The Dark (Light Em Up) – YouTube

無期限活動休止発表後、4年ぶりとなった新作は世界中で大ヒットしました。

OneRepublic(ワンリパブリック)

40位にランクインしたワンリパブリックは2002年に結成。彼らはシングルが強いバンドのひとつ。それを表す指標として、この集計が行われた2018年時点でのアメリカでのアルバム総売上は全100組のうち98番目にあたる「200万枚」。それでも40位にランクインしたのは人気の高さから見られるシングルセールスの高さが要因かもしれません。

最も売れたシングルがアメリカレコード協会(RIAA)で1000万枚の売り上げに相当するダイヤモンド認定を受けた2013年の「Counting Stars」。

OneRepublic – Counting Stars – YouTube

この曲の人気の高さは凄まじく、おそらく普段洋楽を聴かない方でも「この曲を耳にした事がある!」という方や「バンド名は知らなかったけどこの曲は知ってる!」という方もいるのではないでしょうか。

そのくらい世界的に浸透し、ミュージック・ビデオもYouTubeで35億回再生ととんでもない記録になっています。

これだけヒットしたのには楽曲の良さももちろんありますが、多くの映画やドラマ、ビデオゲームなどでも使用されている点にあり、2014年の映画「アース・トゥ・エコー」、同じく2014年の映画「Mommy/マミー」などあらゆる場面で使用されたことも大きいかもしれません。

Panic! at the Disco(パニック!アット・ザ・ディスコ)

48位にランクインしたパニック!アット・ザ・ディスコは2004年に結成。当初は幼なじみの4人で結成したんですが、紆余曲折あり2015年から現在に至るまでボーカルのBrendon Urie(ブレンドン・ユーリー)によるソロ・プロジェクトとなっています。

2005年のデビューアルバム「A Fever You Can’t Sweat Out」はトリプルプラチナ認定を受けるヒットを記録し、以降もすべてのスタジオ・アルバムが全米ビルボード200でトップ10入り。シングルもデビューアルバム収録の「I Write Sins Not Tragedies」が最大のヒットを記録しました。

しかしこの集計期間と絶妙に絡む2018年、ソロになったユーリーは「High Hopes」をヒットさせ、最大ヒットシングルを更新します。

Panic! At The Disco – High Hopes – YouTube

結成当初から「エモ」、「サイケデリック」、「ダンス」をあらゆるジャンルに挑戦し、最新アルバムはポップアルバムに分類されていることも考えると比較的マルーン5にも似た動きをしている部分もありますが、他の楽曲にゲスト参加する時などはブレンドン・ユーリー名義であることがあるため、パニック!アット・ザ・ディスコはあくまでロックバンドとして棲み分けをしているように感じます。

The Killers(ザ・キラーズ)

57位にランクインしたザ・キラーズは2002年に結成。ラスベガスで結成されたアメリカのロックバンドですが、イギリスでの人気が高いバンドのひとつです。

デビューアルバム「Hot Fuss」は全世界で700万枚を売り上げ、以降はわずかにイギリスでの売り上げがアメリカでの売り上げを上回るほど、イギリスでの人気が凄まじいのが特徴。その証拠に昨年リリースの最新アルバム「」まで全7作のスタジオ・アルバムが全て1位を記録。キング・オブ・インディーポップロックと称するコメントもあり、アメリカのバンドとは思えないと考えている人も多いようです。

The Killers – Mr. Brightside – YouTube

2013年には90,000人収容できるウェンブリー・スタジアムでのライブを実現させ、集計が行われた2018年以降もまだまだ人気の高いバンドです。

Paramore(パラモア)

58位にランクインしたパラモアは2003年に結成。ボーカルのHayley Williams(ヘイリー・ウィリアムス)以外は脱退や復帰などメンバーの入れ替わりが激しく、今年5年ぶりにアルバム制作に入ったことが報じられ話題を呼んでいます。

女性ボーカルバンドで最も人気が高かったバンドのひとつで、2000年代のフェスなどで大きな存在感を示していたと思います。

楽曲の人気の高さもあり、ロックバンドとしてはめずらしくプラチナ認定を受けたヒットシングルを比較的多く持つバンドでもあります。その中でやはりもっとも売れたのが「Misery Business」。

Paramore – Misery Business – YouTube

2013年のアルバム「Paramore」以降は「エモ」、「オルタナティヴ」の要素が減り、比較的ポップ・ロック要素が強くなっていますが、ソロ活動も行うヘイリーの幅広いジャンルへの挑戦がバンドにも今後さらに反映されていくかもしれません。

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Arctic Monkeys(アークティック・モンキーズ)

72位にランクインしたアークティック・モンキーズは2001年に結成。シェフィールド出身のロックバンドは「オアシス以来の衝撃」と報じられるほどデビューシングル「I Bet You Look Good on the Dancefloor」は記録的なヒットとなりました。

全英アルバムチャートではデビューから6作連続1位。そのうちビルボード200でも3作がトップ10入りを果たしており、「オアシス以来の衝撃」はアメリカの視点でも成果を残しているバンドだと言えます。

この集計におけるセールス面の要素はアメリカでの売り上げがベースとなっており、アルバム総売上は全100組のうち99番目にあたる「150万枚」。そのほとんどを占めているのが2013年の「AM」で、RIAAで唯一プラチナ認定を受けています。

そしてアルバムからのシングル「Do I Wanna Know?」はビルボードホット100に今現在、唯一ランクインしたシングルとなっており、70位を記録しました。

Arctic Monkeys – Do I Wanna Know? – YouTube

今現在、2018年のアルバム「Tranquility Base Hotel & Casino」以降新作が発表されていませんが、昨年レコーディングが行われたことが発表されており、今後リリースが予想されています。

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Mumford & Sons(マムフォード・アンド・サンズ)

73位にランクインしたマムフォード・アンド・サンズは2007年に結成。ロンドン出身のフォークロックバンドでこれまでの4枚のスタジオ・アルバムは3作で全米1位、2作で全英1位を獲得しています。

デビューアルバムがリリースされた2009年、この時期は既に世界中でCDセールスは低迷していました。IFPI(国際レコード連盟)の統計では2001年以降毎年フィジカルセールスが減少し続けており、その中で集計期間中のセールスが「550万枚」だったマムフォード・アンド・サンズはかなりの商業的成果を上げていると考えられます。

実際、デビュー・アルバム「Sigh No More」は全世界で800万枚を売り上げており、この時代ではかなりの結果だと言えます。

シングルで一番売れたのは2012年「I Will Wait」。

Mumford & Sons – I Will Wait – YouTube

当初はフォークロックを中心にしていましたがアフリカの民族音楽を導入したり、オリタナティヴに近づいたりと様々な挑戦を続けています。

The Fray(ザ・フレイ)

91位にランクインしたザ・フレイは2002年に結成。地元のコロラド州デンバーのKTCLラジオ番組で多くのリクエストが寄せられるほどの人気を経てデビューアルバム「How to Save a Life」をリリース。

ビルボード200でのトップ10入りは逃したものの、イギリスでの人気を獲得し、商業面ではバンド最大のヒットアルバムとなりました。その人気から2枚目のスタジオ・アルバム「The Fray」で全米1位を獲得しています。

The Fray – How to Save a Life – YouTube

Five Finger Death Punch(ファイヴ・フィンガー・デス・パンチ)

94位にランクインしたファイヴ・フィンガー・デス・パンチは2005年に結成。今回2000年代でランクインした唯一のヘヴィメタルバンドです。5FDPの略称で知られています。

この10年間で最も成功したヘビーメタルバンドのひとつに数えられるほど近年を代表するバンドです。

2018年の集計期間までの間にリリースされた7枚のスタジオ・アルバムすべてがRIAAでゴールド認定又はプラチナ認定を受けており、特に北米での人気の高さを証明しています。

シングルでは2010年、「Bad Company」が唯一のプラチナ認定を受けるヒットとなりました。

Five Finger Death Punch – Bad Company – YouTube

The Script(ザ・スクリプト)

95位にランクインしたザ・スクリプトは2001年に結成。アイルランド出身の3ピース・バンド。地元アイルランドはもちろん、イギリスでも人気が高く、これまでの6枚のスタジオ・アルバムのうち5作で全英1位を獲得。ビルボード200でも2作がトップ10入りを果たしました。

地元アイルランドでリリース後イギリスでリリース、続いて約1年後にアメリカでリリースと少しずつ拡大していったデビュー作「The Script」からのシングルが2作立て続けにRIAAでダブルプラチナ認定を受け、ファンを確実に増やしながらリリースした2枚目のスタジオ・アルバム「Science & Faith」で全米3位を記録しました。

そしてシングルとして最も成功したのはwill.i.am(ウィル・アイ・アム)を迎えた異色の曲「Hall of Fame」。これはフロントマンのダニー・オドノヒューがThe Voice UKの審査員を務めていたときにウィル・アイ・アムと知り合ったことがきっかけでした。

The Script – Hall of Fame ft. will.i.am – YouTube

Kings of Leon(キングス・オブ・レオン)

97位にランクインしたキングス・オブ・レオンは2000年に結成。テネシー州ナッシュビルで結成されたアメリカのロックバンド。

デビューから2作連続で世界的ヒットとなるものの、ビルボード200で初めてトップ10入りを果たしたのは3作目の「Because of the Times」。以降は安定した人気を誇っており、昨年リリースの最新アルバム「When You See Yourself」はトップ10入りを逃しましたが、全英チャートでは6作連続1位を記録しています。

シングルとして成功したのは2008年の「Sex on Fire」と「Use Somebody」。RIAAではどちらもプラチナ認定を受けるヒットとなっており、世界的に見ると「Sex on Fire」が特にイギリスでヒットしました。

Kings Of Leon – Sex on Fire – YouTube

今再び集計したらどうなるのか?

2022年にもし再び集計が行われるとしたら、新たにランクインするバンドはいるのか。そう考えた時に浮かぶバンドのひとつがImagine Dragons(イマジン・ドラゴンズ)。というかイマジン・ドラゴンズくらいしかいないかもしれません。

これはアメリカが軸となっているという点、上位100組のうちのほとんどのバンドが今尚人気が高いという点、レコード業界の売上増による過去作品のリバイバルヒットなどの要因が挙げられます。

その中で未だにヒット曲を世に送り出しているイマジン・ドラゴンズは数少ない可能性のあるバンドだと考えられます。

もし「こんなバンドもランクインするかも」などがあるようでしたら是非SNSで発信して頂けると嬉しいです。

「史上最も人気のある100のロックバンド」からの分析は他にも注目すべき点がありそうなので、機会があればまた考察していこうと思います。

以上、「史上最も人気のある100のロックバンドから2000年代のバンドを紐解く」でした。

参考情報:100 Most Popular Rock Bands of All Time – 24/7 Wall St.

WRITER

酒井裕紀

洋楽まっぷ管理者。米・英の音楽チャートなどのデータを好み、70年代から最新の洋楽までヒット曲なら幅広い知識を持つ。時代毎の良さがある洋楽の魅力を少しでもわかりやすくご紹介できればと思います。

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