今回のレビューはChance The Rapper(チャンス・ザ・ラッパー)による2枚目のミックステープ「Oxnard(オックスナード)」。
HIPHOPシーンに衝撃をもたらしたミックステープ『カラーリング・ブック』に次ぐ、チャンス・ザ・ラッパーの代表作であり、名前の通りジャンキーながらにソウルを感じるジャンルを超えて愛されるアルバムです。
チャンス自身は多くのラッパーのように劣悪な環境で育ったというよりも、アカデミックな教育を受けてきた政府関係で働く両親の元で育ち、一流のプレップ・スクール(私立の進学校)に通っていました。しかしながら幼い頃から音楽の道を否定されたり、両親からは大学進学のために雁字搦めにされていました。
そんなチャンスが唯一解放された時間が、HIPHOPを聴くことであり、次第に自らリリックを描き始めました。そしてそれをイベントなどで披露する中で彼の名前の由来であるラッパーとしての可能性を強く感じるようになったのです。まさにその過程でacidでカラフルな世界の描写を始めたのがこのアルバムのコンセプトでもあります。
今作は、フリーのミックステープながらに爆発的な人気を誇りミックステープサイトDatpiffで「ダイヤモンド」というランクにも認定されており、100万回以上のダウンロードを獲得しました。
楽曲に関しては、まずはアルバム1曲目の“GOOD ASS INTRO”ですが非常に綺麗にミックスダウンされた楽器の棲み分けは完璧でした。
Chance The Rapper - Good Ass Intro (feat. BJ The Chicago Kid, Lili K., Kiara Lanier) - YouTube
気持ちの良いベースの重さにメロディアスなコーラスワーク、ゴスペルを感じるホーンセクション、どれも絶妙に調和されており、ハッピーながら哀愁を感じることができます。
そしてアルバム3曲目の“COCOA BUTTER KISSES”。
Chance The Rapper - Cocoa Butter Kisses (feat. Vic Mensa & Twista) - YouTube
ドラムスの空気感と空間を感じる響き、ソウルフルでトリッキーなリズムパターンに思わず首が動いてしまいます。チャンスのスキルフルなラップとセンスが爆発したフェイクがムンムンのグルーヴを醸し出しています。
他にも、アルバム4曲目の“JUICE”は軽やかながらドランクビートのノリがあって「まさにアシッドラップ!」と言いたくなるような完成度でした。
Chance The Rapper - Juice - YouTube
全体として、タイトル負けしないくらいグルービーでソウルフルでスキルフルな曲がズラーっと並んでいる印象を受けました。これがフリーで聴ける時代ってとんでもないです。
彼の別の作品についてもいつかレビューできたらと思います。
■「Beat Tape 1」トラックリスト
1. Good Ass Intro (ft. BJ the Chicago Kid)
2. Pusha Man (ft. Nate Fox)
3. Paranoia (ft. Lili K. & Nosaj Thing)
4. Cocoa Butter Kisses (ft. Vic Mensa & Twista)
5. Juice
6. Lost (ft. Noname)
7. Everybody's Something (ft. Saba & BJ the Chicago Kid)
8. Interlude (That's Love)
9. Favorite Song (ft. Childish Gambino)
10. NaNa (ft. Action Bronson)
11. Smoke Again (ft. Ab-Soul)
12. Acid Rain
13. Chain Smoker
14. Everything's Good (Good Ass Outro)