洋楽のひとつの特徴で、過去の曲や音源の一部を流用して楽曲制作に利用するサンプリングというものが邦楽に比べはるかに多く行われています。
主にヒップホップ、R&Bによくあるサンプリング。今回は最新曲からかつてのヒット曲までの洋楽からサンプリングの元ネタとなっている曲をご紹介いたします。
再構築が成功してかっこよくなってる曲や、「これも元ネタがあるの?」と新たな発見となる場合もありますので、好評だったらシリーズ化していこうかと思います。
今回は最近多い、サンプリング元ネタの曲を歌うアーティストも共同でクレジットされているケースを特集します。
【洋楽】サンプリング元ネタ4選まとめ
Future - WAIT FOR U ft. Drake, Tems
Future - WAIT FOR U ft. Drake, Tems - YouTube
1曲目はFuture(フューチャー)。
サンプリング元ネタはナイジェリア出身のシンガー、Tems(テムズ)が2020年にリリースしたデビューEPに収録されている「Higher」。
この音源をそのまま使用しているのではなく、ライヴ音源を使用したものと思われ、サウンドはギターベースによるものになっています。ほぼフルで使用しているため、バックボーカルのように引き立てる一方でメインボーカルのように展開する場面もあり、曲の中で終始存在感を出しています。テムズは注目度の高いシンガーで、今作で初めて全米3位にランクインする機会を得ました。
Aitch, Ashanti - Baby
Aitch, Ashanti - Baby - YouTube
続いてはイギリスのラッパー、Aitch(エイチ)。
サンプリング元ネタはAshanti(アシャンティ)の2003年の曲「Rock wit U (Awww Baby)」。
Ashanti - Rock Wit U (Awww Baby) - YouTube
元ネタに合わせたかのような少し懐かしいサウンドにしていることでコーラスがより映えたかっこいい曲に仕上がっています。全英2位を獲得しており、アシャンティにとっては2004年の「Only U」以来18年ぶりに全英チャートでトップ3入りを果たしています。共同クレジットの利点のひとつで、テムズもそうですがヒットした場合クレジットされていれば直接的な参加はしていなくてもチャート入りし、それが実績となるというのがあります。
Tion Wayne - IFTK ft. La Roux
Tion Wayne - IFTK ft. La Roux - YouTube
ロンドンのラッパー、Tion Wayne(ティオン・ウェイン)の最新曲。
サンプリング元ネタはLa Roux(ラ・ルー)の2009年のヒット曲「In for the Kill」。
La Roux - In For The Kill - YouTube
立て続けにUKラッパーをご紹介しましたが、現在2000年代のヒット曲をサンプリングしリワークするのが主流のひとつとなっており、共同クレジットではないパターンの単なるサンプリングであればもっと事例がある状態です。このムーヴメントは2020年頃から始まっているようで、今作もドリルラッパーとしてティオン・ウェインの過去の闘争を振り返った歌詞で現在ヒット中。ラ・ルーもアシャンティ同様、全英チャートで久しぶり(2009年以来13年ぶり)のトップ10入りを果たしています。
Latto, Mariah Carey - Big Energy (Remix) ft. DJ Khaled
Latto, Mariah Carey - Big Energy (Remix) ft. DJ Khaled - YouTube
最後はLatto(ラトー)。初のヒット曲はMariah Carey(マライア・キャリー)のヒット曲をサンプリング…。ではなく、今作はサンプリングのサンプリングになっている少し複雑な曲になっています。
ラトーの「Big Energy」はこちら。
サンプリング元ネタはマライア・キャリーではなく、Tom Tom Club(トム・トム・クラブ)の1981年のヒット曲「Genius of Love」。
Tom Tom Club - Genius Of Love - YouTube
マライア・キャリーのヒット曲「Fantasy」はオリジナルではなく、同じく「Genius of Love」をサンプリングしています。トム・トム・クラブをご存じの世代の方であればわかる話かもしれませんが、若い世代の方はご存じないかもしれませんね。
Mariah Carey - Fantasy - YouTube
そしてラトーのヒット曲にマライア・キャリーが参加したことで、「Fantasy」も引用しながら「Genius of Love」をサンプリングした曲に仕上がっているわけですね。
ビルボードホット100でトップ10入りを果たしていたこの曲は、共同クレジットとなることでマライア・キャリーにとっても「恋人たちのクリスマス」以来のトップ10入りが期待されていました。本人も狙っていたかもしれません。しかし実際はリミックスよりもオリジナルの方がセールス、ストリーミングが高かったため、このリミックスはチャート入りできませんでした。オリジナルはRIAAでプラチナ認定を受けるヒットとなっており、現在もヒット中です。
そしておもしろいことに、アメリカでチャート入りできなかったものの、全英チャートではじわじわと上昇してきており、過去作のサンプリングによる曲がイギリスのブームのひとつになっているのかもしれません。
まとめ
サンプリング元ネタの曲を歌うアーティストも共同でクレジットされているケースに絞ってご紹介しましたが、サンプリングの権利を許可するだけで参加していなくてもチャート入りを果たす可能性があるという意味ではメリットも大きいように感じますね。そしてアメリカとイギリスで現在の傾向がまるで違うことも垣間見えました。
次回はもっと単純にサンプリング元ネタをご紹介していければと思います。
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