「Young and Beautiful(ヤング・アンド・ビューティフル)」「Summertime Sadness(サマータイム・サッドネス)」などの大ヒット曲で知られるLana Del Rey(ラナ・デル・レイ)。彼女の悲しい過去をご存知ですか?
14歳でアルコール依存症に
不動産ブローカーとして一代で富を築いた父親をもつラナ。両親のそろった裕福な家庭で何不自由なく育ったはず彼女でしたが、なんと14歳でアルコール依存症になってしまいます。とあるインタビューで「“喪失”について詞を書くとき、いつもお酒について書きたくなるの。アルコールは私の初恋の相手だもの」と語ったラナ。「すごくたくさん飲んでたの、ひとりでね。そんな自分をカッコいいと思っていた」とも。
ラナがリリースした初のメジャー・アルバム「Born To Die(ボーン・トゥー・ダイ)」に収録された曲のほとんどはこの“アルコール依存症時代”にインスパイアされたものなんだとか。
Lana Del Rey - Born To Die - YouTube
シングル「ボーン・トゥー・ダイ」のMV
心配した両親は娘が更生してくれることを願って、14歳の彼女を全寮制の学校に入れますが、それがさらに逆効果に。親元を離れたラナはアルコールに加えてドラッグにまで溺れるようになってしまうのです。
“心の闇”が素晴らしい音楽をつくりだした
全寮制の学校をでた彼女は、リハビリ施設に入居。そこでようやくアルコールとドラッグの依存症を克服します。そして、幼いころから大好きだった音楽をキャリアにするための一歩を踏み出し、いまに至るのです。
そもそも裕福で、貧困や暴力などにさらされたワケでもない少女がなぜ、このようなヒドい依存症になってしまったのか…その理由は推測の域(いき)をでません。ひとつヒントになりそうなのは、ラナと母親との関係。
2020年の母の日に「この日は平和な日であるとはかぎらない...」と、SNSに投稿したラナ。そして「私にとっては、トラウマ、まだ母親になっていないことへの失望、そして実の母親との不和、などさまざまな理由からやりすごすのが大変な日でもある」とも。
実の父とは良好な関係を築いているラナですが、母親との関係には、かなり暗く深いトラウマがあるようなのです。その言語化しがたい「母親との冷たい争い」が、彼女が若くして依存症におちいった原因のひとつなのかもしれません。そして、その「ダークサイド」のおかげで、すばらしい音楽が生みだされたというのもまた事実でしょう。
Lana Del Rey - Raise Me Up (Mississippi South) - YouTube
ファンの間ではラナが母親について書いた曲、といわれている「Raise Me Up(レイズ・ミー・アップ)」
自身の音楽のジャンルを「サッド・コア」だと定義するラナ。彼女の曲はつねに、聴き手の心の“柔らかいところ”をチクッと刺すような、物悲しさとノルタルジーにあふれています。彼女の中からあふれ出るそのリアルな“哀しみ”が私たちリスナーを、こんなにも夢中にさせるのかもしれません。
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