【アルバムレビュー】Patrice Rushen『Straight from the Heart(ストレート・フロム・ザ・ハート)』

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洋楽コラム

今やTikTokなどでもサンプルネタとして使われ、HipHop、R&Bファンではお馴染みのネタである「Remind Me」

この曲を聴いてPatrice Rushen(パトリース・ラッシェン)の名前を知るという方も多いのではないでしょうか。

YouTubePatrice Rushen - Remind Me - YouTube

まさにその楽曲が入ったアルバム『Straight from the Heart(ストレート・フロム・ザ・ハート)』は、鍵盤奏者として輝かしい受賞歴も持つL.A.出身のソウル・シンガー、パトリース・ラッシェン屈指の名作です。

ハリウッド映画『メン・イン・ブラック』のテーマ曲として使用され、空前のリバイバル・ヒットとなった「Forget Me Nots」。

グルーヴしまくりなベースラインに引き込まれるディスコフィーリングな「I Was Tired Of Being Alone」。

そして冒頭に挙げた、コモンをはじめとする様々なヒップホップ・アーティストがサンプリングした「Remind Me」など数々のダンス・クラシックスの詰まった名盤です。

米国バークリー音楽大学 (Berklee College of Music)から名誉音楽博士号 (Honorary Doctorate of Music degree)を受賞するなど、70年代にはすでにジャズミュージシャンとして一定の評価を獲得していたパトリース・ラッシェンですが、時代がメロウなサウンドに傾倒し、移り変わっていくのに順応するかのように、徐々にスタイルを変えていきました。

そしてそのポテンシャルの高さで、ついにはポップミュージックの王道にまで躍り出ていったのです。

これは彼女だけではなく、ジョージ・ベンソンやジョージ・デュークなど、ジャズのスーパーミュージシャン達がこぞって80年代のブラック・コンテンポラリー隆盛を支えていった時代の現れでもあります。

その大きな流れの中でも古今通ずる代表作となったのが、まさに題名の通り『ハート泥棒』という意味の『Straight from the Heart』であるというわけです。

個人的には、アルバム4曲目の「Number One」が好きです。

インスト曲なのですが、昼下がりにコーヒーを飲みながら聴いても、夜にドライブしながら聴いても自分の心とマッチします。

アカデミックな音楽を極めたパトリース・ラッシェンであるからこそ生み出すことのできる、非常にキャッチーながらに趣を感じるサウンドに仕上がっているアルバムです。

■ Straight from the Heart トラックリスト

Side one
1. Forget Me Nots
2. I Was Tired of Being Alone
3. All We Need
4. Number One (Instrumental)

Side two
5. Where There Is Love
6. Breakout!
7. If Only
8. Remind Me
9. (She Will) Take You Down to Love

CD bonus tracks
10. Forget Me Nots (12 Version)
11. Breakout! (12 Version)
12. Number One (Instrumental) (12 Version)
13. Forget Me Nots (Single Version)
14. Breakout! (Single Version)

WRITER

TOY吉

洋楽なら幅広く聴きますが特にHIP HOP、R&B、ソウル、ファンクを好みます。