【アルバムレビュー】FKJ『Ylang Ylang(イランイラン)』

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洋楽コラム

今回のレビューはフランスのマルチ・インストゥルメンタリスト/プロデューサー、French Kiwi Juice(フレンチ・キウイ・ジュース)ことFKJによるデビュー初のEP「Ylang Ylang(イランイラン)」

HIPHOP、R&B、エレクトロ、FUNKなどの要素を絶妙に取り入れ、フレンチ・エレクトロの軸をなぞりながら、実体験から感じたことをそれぞれのルーツ言語により独自の世界観をまとめ上げる、マルチインストゥルメンタリストとしての才能を爆発させているフレンチ・エレクトロの最先端とも言える彼ですが、そんな彼のデビューアルバムを超えるような瑞々しさを感じられるEPになっています。

また、2017年に完全即興でレコーディングした「Tadow」のリリース後、大きな注目を集め、彼の存在は一躍有名になり、2019年にはアップルのCMで楽曲が使用されるなど、芸術性と大衆性を兼ね備えた稀有なアーティストになりつつあります。

日本でも、一度限りと言われた来日公演が数分で完売するなど幅広い世代から多くの人気を集めはじめました。

楽曲に関しては、やはり今作のリード曲である“Ylang Ylang”の魅力を語らずにはいられません。

FKJ – Ylang Ylang – YouTube

曲名の由来となった、フィリピンのイランイランはセクシーで落ち着きのある匂いを持つ南国の花の名前で、「Ylang」は、FKJ自身が制作を行なっていたフィリピンの地名らしいです。

設備も完備というわけではないシチュエーションで、非常にナチュラルな形の制作をしていたそうで、そのスタイルも相まって、非常に魅惑的で落ち着きのある不思議な世界観を聴き手に提供してくれます。

イントロのJAZZ色の強いピアノとトロピカルなパーカッションで、心地よい風が吹いているとすら錯覚するサウンドは圧巻です。

また、“100 roses”では彼自身がボーカルを入れているのですが、甘く浮遊感のあるギターバッキングと彼の高音の透き通る声が非常にマッチしており、マルチプレイヤーならでは魅力を感じることができます。

FKJ – 100 Roses – YouTube

私はこの曲を初めて聴いた時にストリングアレンジとコーラスワークも相まって異空間にいるかのように錯覚してしまいました。

全体を通じての印象として、まさにダンスミュージックの最先端を取り込んだ打ち込みを使いながら、自然と一体化するようなオーガニックなサウンドエスケープを全曲通じて感じられるところは、デビュー作から一歩進んでアンビエントとの壁を壊す画期的な作品と言えるのではないでしょうか。

■「Ylang Ylang」トラックリスト

1. Earthquake
2. Risk
3. Ylang Ylang
4. Brother
5. 100 Roses
6. 10 Years Ago

WRITER

TOY吉

洋楽なら幅広く聴きますが特にHIP HOP、R&B、ソウル、ファンクを好みます。

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