FUJI ROCK FESTIVAL '24への出演も決定している、イギリスを拠点に活動する5人組バンド、The Last Dinner Party(ザ・ラスト・ディナー・パーティー)。
デビュー・シングル「Nothing Matters」がインディー・ロック・シーンでいきなり注目を集め、毎年イギリスで開催される音楽の祭典ブリット・アワードでライジング・スター賞を受賞。今年2月にリリースされたデビュー・アルバム『Prelude to Ecstasy』は全英アルバムチャートで初登場1位を獲得しました。
今回はフジロックや単独来日公演もあり、日本でも一気に知名度があがりそうな彼女たちの魅力に迫ります。
結成までの経緯
ボーカルでロンドン出身のAbigail Morris(アビゲイル・モリス)、ギターでオーストラリア出身のGeorgia Davies(ジョージア・デイヴィス)、同じくギターでのLizzie Mayland(リジー・メイランド)の3人は2019年にキングス・カレッジ・ロンドンの新入生歓迎週間中に出会いました。
最初はライブに行ったり、そのことについて話をしたりしながら仲良くなっていくと、自分たちでバンドを組むことを考え始めます。この時点で決めていたバンド名は『Dinner Party(ディナー・パーティー)』でした。これは「人々が集まって快楽主義的な宴会で祝う、大規模な堕落したディナー・パーティーのアイデアに触発された」ものでした。
3人の時点でバンドのコンセプトは明確でした。
当時コンビニで買ったメモ帳に記したのは、「Gothic」、「Indulgent」、「Decadence」。他にも壮大な目標を書き込んでいたそう。
アビゲイルは、友人が知る最高のギタリストとしてEmily Roberts(エミリー・ロバーツ)を紹介してもらいます。その後キーボーディストとして、エミリーが一緒に仕事をしたことがあったAurora Nishevci(オーロラ・ニシェヴィ)が加わり、現在の5人組となります。エミリーとオーロラは、ギルドホール音楽演劇学校に通っていました。
メンバー、特にアビゲイル、ジョージア、リジーが知り合ってから色々なライブを見に行っていたときに、人々がバンドに求めるものの変化に気づいたことがバンド結成のきっかけになっていることを後にアビゲイルはあかしており、当初からプロで活動することを想定して曲作りなども含めた準備をしていたのがよくわかります。
具体的な日付は明かされていませんが、5人はすぐに揃いました。しかしこの時期、コロナ禍の影響は強く、結成したものの思うような活動はできませんでした。
しかしチャンスがあればすぐにでもライブをやろうというスタンスではなく、コロナ禍が落ち着き、人々がまた積極的にライブに足を運ぶようになるタイミングを待つことを選択します。
Qプライム、アイランド・レコードとの契約
初ライブとなったのは2021年11月29日、ロンドンのイーストエンドの中心にあるザ・ジョージ・タヴァーン。後のデビュー・アルバムにも収録される「On Youe Side」や「Mirror」を披露しました。
その後は頻繁にライブを行うようになり、またライブを撮影してフルセットをYouTubeに投稿するなど積極的にSNSでも活動をアピールしていました。この時点で地元のシーンでのバンドの地位は高まり、業界で注目を集め始めるようになります。
バンドがスタジオで一緒に仕事をしたオーディオエンジニアからバンドのデモを受け取ったマネージメントグループのQプライムは2022年初頭にバンドのライブを見に行き、ほぼすぐにマネージメント会社と契約。Qプライムはピーター・メンチ氏とクリフ・バーンスタイン氏によって1982年にスタートしたアメリカ屈指の音楽マネージメント会社・レコード会社で、多くのバンドが所属しています。
彼女たちはサウンドに磨きをかけ、さらにライブの数をこなしていき、2022年5月までに、バンドはアイランド・レコードとレコード契約するにまで至ります。
その後も2022年を通してライブを続け、その中にはThe Rolling Stones(ザ・ローリング・ストーンズ)のオープニング・アクトだったり、ロンドン公演ではBenee(ベニー)の世界ツアーのサポートを行ったりと著名アーティストのライブに関われることができました。
正式なデビューまでに同じく『Dinner Party』という名前のジャズ・グループがあったことから、バンド名を『The Last Dinner Party(ザ・ラスト・ディナー・パーティー)』に変更。2023年4月19日にジェームス・フォードがプロデュースしたデビュー・シングル「Nothing Matters」をリリースしました。
The Last Dinner Party - Nothing Matters - YouTube
ザ・ラスト・ディナー・パーティーの魅力
ザ・ラスト・ディナー・パーティーの魅力が一番わかるのはやはりライブ。
ドラマーがメンバーにいないため、ライブでは横一列に並び、ボーカルのアビゲイルが自由に動き回るというスタンスはバンドの一体感とアビゲイルのカリスマ性を高め、見入ってしまうパフォーマンス力があります。
ファッションもそうですがその存在感に加えて、ロック、ポップ、ソウル、ジャズなど様々なジャンルを融合させた楽曲の幅広さなどもバンドの魅力のひとつです。
デビュー・アルバム『Prelude to Ecstasy』をフルで聴くと想像以上にバラエティに富んでいるのもわかります。
これはメンバーがそれぞれの楽器パートに加えて、リジーとエミリーはフルートを担当したり、エミリーはマンドリンも演奏できたり、オーロラはストリングアレンジも手掛けるなどバンドメンバーだけでやれることが多いのも大きそうです。
ギターが2人いるので重圧のあるサウンドも可能ですし、アビゲイルだけでなくリジーがメインボーカルとなるときもあるため、メンバーそれぞれが大前提として音楽スキルの高さがあるというのもバンドの魅力と言えます。
The Last Dinner Party - Sinner (Live Performance) - YouTube
唯一無二の魅力が世界中を震撼させているバンド、ザ・ラスト・ディナー・パーティー。
人気はまだまだ広がっていきそうなので、今後も目が離せません。
Photo by Cal McIntyre
■商品情報
ザ・ラスト・ディナー・パーティー
『プレリュード・トゥ・エクスタシー』
品番:UICI-1163
価格: 2,860円(税込)
解説・歌詞・対訳付き
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■『プレリュード・トゥ・エクスタシー』トラックリスト
1. Prelude to Ecstasy / プレリュード・トゥ・エクスタシー
2. Burn Alive / バーン・アライヴ
3. Caesar On a TV Screen / シーザー・オン・ア・ティーヴィー・スクリーン
4. The Feminine Urge / ザ・フェミニン・アージ
5. On Your Side / オン・ユア・サイド
6. Beautiful Boy / ビューティフル・ボーイ
7. Gjuha / ジュア
8. Sinner / シナー
9. My Lady of Mercy / マイ・レディー・オブ・マーシー
10. Portrait of a Dead Girl / ポートレイト・オブ・ア・デッド・ガール
11. Nothing Matters / ナッシング・マターズ
12. Mirror / ミラー
13. Nothing Matters (Acoustic) / ナッシング・マターズ(アコースティック) <※国内盤ボーナストラック>
参考情報:The Last Dinner Party Wiki | Fandom
How the Last Dinner Party Became Britain’s Hottest New Band - The New York Times
Meet The Last Dinner Party, who might just be your favourite new band - Rolling Stone UK