最新アルバム『Forever』がオリコン週間アルバムランキングで7位、ビルボード・ジャパンの総合チャート「Billboard Japan Hot Albums」で5位を記録。
日本での人気の高さを証明したBon Jovi(ボン・ジョヴィ)。
特に今作ではこれまでのボン・ジョヴィとしての歩みを振り返ったうえで前に進んでいくような曲が多く、改めて称賛する人もいれば、やはりリッチー・サンボラ復活期待の声が未だあることも事実。
その上で今回、特にリッチー・サンボラが抜けて以降、今のボン・ジョヴィがどんなメンバーで形成されているのかを理解している人もまだまだ少ないと思うので、現在のメンバー編成とそれぞれの簡単なプロフィールをまとめました。
メンバーを知ったうえで改めて最新アルバム『Forever』を聴くと、また違った聴こえ方がするかもしれません。
Bon Jovi - Legendary - YouTube
ボン・ジョヴィ現在のメンバー編成
ボン・ジョヴィを知る人は長く4人組であった事、デビュー当時から知る人は5人組であったことはわかるかと思います。
デビュー当時からバンド結成までの経緯は割愛させて頂きますが、抜けた2人を補うように新たなメンバーが加入し、5人組じゃないの?と考える人も多いかと思いますが、最新のプレス写真には7人もいて、「ボン・ジョヴィっていつの間にこんなに増えたの?」と思う人も少なくありません。
Photo: Mark Seliger
実際は正規メンバーは5人、サポートメンバーが2人、というのが正しい解釈となります。
デビュー時からのメンバーは3人
1994年にAlec John Such(アレック・ジョン・サッチ)が脱退、2013年にRichie Sambora(リッチー・サンボラ)が脱退。
Jon Bon Jovi(ジョン・ボン・ジョヴィ)、キーボードのDavid Bryan(デヴィッド・ブライアン)、ドラムのTico Torres(ティコ・トーレス)の3人がオリジナルメンバーです。
ジョンとデヴィッドは16歳の時からの付き合いですし、気づけばもう70歳のティコも現役です。
ヒュー・マクドナルド
Hugh McDonald(ヒュー・マクドナルド)は1994年にアレックが脱退して以降、後任のベーシストとして加入しました。
ただジョンの意向で長く正規メンバーではありませんでした。バンドはしばらく4人編成でありながら、ライヴにはいるし、テレビにもいるし、ミュージック・ビデオにもチラっと出てくるようなメンバーだったんですが、2016年に正規メンバーとなりました。
ジョンとは一回り近く年齢も上で、70年代から音楽活動をしてきたヒュー・マクドナルド。
例えば1977年のDavid Bromberg(デヴィッド・ブロムバーグ)のアルバム『Reckless Abandon』にベーシストとして参加していたり、スタジオ・ミュージシャンとして活動していました。
ボン・ジョヴィとは実はデビュー当時から面識があり、「Runaway」の最初のデモを録音したスタジオ・ミュージシャンの1人でした。
この曲が地元でヒットしたことでアルバムを作ることになりますが、ヒュー・マクドナルドはこの時メンバーとしては迎えられませんでした。
この距離感は調べきれない部分もありますが、デビュー当時から関わっていながらメンバー入りせず、アレックの代わりに参加してからも2016年まで正規メンバーになっていなかったんですね。
フィル・X
Phil X(フィル・X)は1996年、ヒュー・マクドナルドと共に正規メンバーとして加入。
それまではリッチー・サンボラが休んでいた2011年から代役としてライヴに参加していました。
現在58歳ですがメンバー最年少。
1982年にハードロック・ヘビーメタルバンドを結成するも5年で解散。その後はギタリストとして何人かのミュージシャンのツアーに参加したりスタジオ・セッションに参加したりしていました。
2001年にはポップ・ロック・バンドを結成。3枚のアルバムをリリースしますが、2010年で解散。
翌2011年に、ジョン・シャンクスが彼の演奏をビデオなどで見ていたことで興味を持ち、ハリウッドで偶然遭遇した時に話しかけたことで知人になります。
後日、ジョン・シャンクスがバンドのツアーで欠員が出るかもしれないから代役として出るためにセットリストを覚えてほしいという依頼を受けます。これはリッチー・サンボラがアルコール依存症のリハビリに入る直前のことだと思います。
悩みながらもOKを出したら、その数日後、ジョンから直接電話が入りリハーサルを2日かけて行って代役としてツアーに参加することに。
2011年の代役は一時的なものでしたが、その後2013年にリッチー・サンボラが脱退したことをきっかけに再び代役として参加していました。
ヒュー・マクドナルドとフィル・Xが正規メンバーとして発表されたのは、14枚目のスタジオ・アルバム『This House Is Not for Sale』がリリースされた2016年11月4日。
それまでは2人ともサポートメンバーとしてツアーやレコーディングなどに徹していました。
特にフィル・Xにとっては80年代にボン・ジョヴィのライヴに観に行ったこともあるくらい当時よく聴いていたそうで、まさか自分がメンバーになるとは思ってなかったかもしれません。
2人のサポートメンバー
現在正規メンバーではなく、サポートとしてセッション・ミュージシャンであり、ツアー・ミュージシャンなのがEverett Bradley(エヴェレット・ブラッドリー)とJohn Shanks(ジョン・シャンクス)の2人。
エヴェレット・ブラッドリーはマルチプレイヤーとして活躍し、過去にはミュージシャンのツアーに参加するだけでなくミュージカルを手掛けたり、テレビ番組の音楽監督を務めるなどバンド活動を軸としてきた経歴ではなく、幅広い活動をしてきたメンバーです。
ジョン・シャンクスはギタリストとして参加するだけでなく、ジョンやリッチーと多くの楽曲を共作してきたリッチーに変わるバンドの音楽面で支える一人です。
実はバンドとの歴史は最近の話ではなく、初めてかかわったのが2005年のアルバム『Have a Nice Day』。
シングル「Have a Nice Day」はジョン、リッチー、そしてジョン・シャンクスによる共作。そのほかいくつかの曲で参加しています。
Bon Jovi - Have A Nice Day - YouTube
ジョン・シャンクスは以降のアルバム全てでプロデューサーとして参加しており、シングル「Lost Highway」では共作、「We Weren't Born to Follow」や「Because We Can」ではプロデュースと、つまり2000年代中盤以降のボン・ジョヴィを音楽面で支えているメンバーと言える存在なんです。
リッチー不在後もジョンのソロ作になりすぎず、バンドらしさが継続されているのは彼の影響はかなり大きいと考えてもいいのではないでしょうか。
これらの2人の正規メンバー、2人のサポートメンバーがオリジナルメンバーの3人を支えて今のボン・ジョヴィが成り立っていると言ってもいいかと思います。
ボン・ジョヴィの変化
ボン・ジョヴィはどうしてもジョンとリッチーのコンビによる目立ち方が多かったこともあって、リッチーのファンというのが多く存在します。
なのでリッチーが抜けたというだけでボン・ジョヴィを聴かなくなってしまった人もいるかもしれません。
それだけ大きな穴だったことは否めませんが、既に脱退して10年以上経っていることもあり、最新アルバム『Forever』はリッチーが脱退してから3枚目、(『Burning Bridges』を含めると4枚目)のアルバムとなります。
音源だけ聞くとあまりわかりませんが、ジョンの声帯の問題はかなり早い段階から言われていましたし、2010年代のボン・ジョヴィはバンドとしてかなり厳しい期間であったこと、2020年から心機一転したかったはずなのに新型コロナウイルスの影響で前作『2020』が思うようなプロモーションができなかったことなどあまりいい状況ではありませんでした。
そんな中でメンバーも変わり、ハイトーンの楽曲も減り、それでもバンドらしさを継続しながら作られたのが『Forever』。
本来であればいろいろ経験した中で前に進もうと決めたアルバムのようにも感じる一方で、リッチーの復帰についてコメントを求められることも多く、複雑な気持ちなのではないかというのも感じます。
実際、今回のプロモーションでリッチーの復帰について聞かれた際の返事に統一性がありません。ジョンもまだ複雑な心境なのかもしれません。
もしまだ最新アルバム『Forever』をじっくりと聴いてらっしゃらない方は、これらを踏まえて聴いてみると、先入観とは異なる違う解釈が生まれてくるかもしれません。
■『Forever』トラックリスト
1. Legendary
2. We Made It Look Easy
3. Living Proof
4. Waves
5. Seeds
6. Kiss the Bride
7. The People's House
8. Walls of Jericho
9. I Wrote You a Song
10. Living in Paradise
11. My First Guitar
12. Hollow Man
■楽曲リンク
・Bon Jovi
→『Forever』