【アルバムレビュー】Hiatus Kaiyote『Choose Your Weapon(チューズ・ユア・ウェポン)』

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洋楽コラム

今回のレビューはHiatus Kaiyote(ハイエイタス・カイヨーテ)による2枚目のアルバム「Choose Your Weapon(チューズ・ユア・ウェポン)」

Hiatus Kaiyote | Choose Your Weapon | Album Preview Player – YouTube

デビュー1stアルバム『トーク・トマホーク』がいきなりグラミー賞にノミネートされたことを皮切りに注目された彼らですが、その衝撃を遥かに超えるような作品となったのが今作品です。

サウンドとしては、60’s~70’sのソウルやジャズの伝統的なグルーヴの強いサウンドと、難解でありながらどんな人にでも刺さるような斬新な構成の曲がこれでもか並んでいます。ジャンルの縛りを感じないサイケで浮遊感のある世界観の中に急にスウィングの要素が入ってきたり、hiphop的なアプローチがドカンと突っ込んできたり新鮮さが途切れません。

様々なバックグランドを持つ、楽器隊の突出した演奏だけに普通なら馴染みやすさが薄れアカデミックに傾倒してしまいがちですが、そこに類稀なる歌唱力はもちろんのこと、唯一無二の歌声を持つボーカルギターのナオミ・“ネイ・パーム”・ザールフェルトが奇跡のように融合するところが彼らの魅力です。

そして、今作はオーストラリアだけでなくアメリカやドイツなどでiTunesチャート1位を達成しました。また、世界最大のフェスであるグラストンベリーにも出演するなど、彼らはさらに活躍のフィールドを広げています。日本においてもフジロックやサマーソニックなどの大型フェスに出演し話題になりました。

楽曲に関しては、まずはアルバム1曲目の“Choose your weapon”から「あれ、ネオソウルバンドだよね?」と思わず言いたくなるような衝撃を受けました。

宇宙を感じさせるような音の広がりと、ダイナミクスの大きさ、サウンドの明瞭さがなんとも不思議な気持ちにさせセラピーのようにさえ感じました。

続くアルバム2曲目の“Shaolin Monk Motherfunk”。
ジャングルのような自然音と、上手くパン振りされたシタールなどの飛び道具からゆっくり引き込んでから急に、浮遊感のあるスウィングが始まります。非常に耳心地が良いです。

Hiatus Kaiyote – Shaolin Monk Motherfunk – YouTube

アルバム全体を通して、斬新なアイディアをここまで形にできるのはやはり鬼才だなと感じました。メンバーそれぞれのバックグラウンドを足し算ではなく掛け算に昇華した作品だと思います。

彼らの最新作についてもまた次回レビューしたいと思います。

■「Choose Your Weapon」トラックリスト

1. Choose Your Weapon
2. Shaolin Monk Motherfunk
3. Laputa
4. Creations Part One
5. Borderline with My Atoms
6. Breathing Underwater
7. Cicada
8. Swamp Thing
9. Fingerprints
10. Jekyll
11. Prince Minikid
12. Atari
13. By Fire
14. Creations Part Two
15. The Lung
16. Only Time All the Time: Making Friends with Studio Owl
17. Molasses
18. Building a Ladder

WRITER

TOY吉

洋楽なら幅広く聴きますが特にHIP HOP、R&B、ソウル、ファンクを好みます。

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