【アルバムレビュー】Tyler, The Creator『IGOR(イゴール)』

BY

※本ページにはアフィリエイト広告(PR)が含まれます

洋楽コラム

『IGOR(イゴール)』は、アメリカのラッパー・プロデューサーである、Tyler, The Creator(タイラー・ザ・クリエイター)による5番目のスタジオアルバム。 2019年5月17日にリリースされました。

Playboi Carti(プレイボーイ・カーティ)、Lil Uzi Vert(リル・ウージー・ヴァート)、Solange(ソランジュ)、Kanye West(カニエ・ウェスト)、Jerrod Carmichael(ジェロッド・カーマイケル)をフィーチャリングした本作。2017年にリリースした『 Flower Boy(フラワーボーイ)』の前に、アルバム制作が行われ、2017年から2019年にかけて、カルフォルニア、イタリア、アトランタと多岐にわたってレコーディングされました。

ミュージックジャーナリスト達は、主に、R&Bとファンクの影響を受け取ることが多いですが、本作も『Flower Boy』で確立された、『ヒップホップとネオソウルサウンド』を継承しています。

特徴的なのは、アルバム全体で洗練された、

『シンセサイザー×低音混合ボーカル』のハーモニー。

今アルバムの物語は、主人公であるキャラクターの肩書きと自身の同性愛の間における、『愛』の三角関係的な葛藤を中心に展開されていきます。

それにともなって、”失恋、消失、嫉妬”など、『愛』に関連するテーマを掘り下げるIGOR独特の文学的な集団意識が表現されていきます。

また、今アルバムのリード曲である『earfquake』は、80年代リバイバルなローファイサウンドが特徴的なシンセポップなバラード。シングルリリースによって、米国ビルボードHot 100で13位を獲得しました。

YouTubeTyler, The Creator - EARFQUAKE - YouTube

そして『IGOR』は、週間ユニット165,000を獲得し、DJキャレドの『ファーザー・オブ・アサド』を上回り、自身初となる全米1位を獲得しました。

さらに、2020年1月26日に米LAのステイプルズ・センターにて開催されている 【第62回グラミー賞授賞式】で、今作『IGOR』が<最優秀ラップ・アルバム>を受賞し、“タイラー・ザ・クリエイター”の名を一躍有名にしました。

グラミー賞授賞式で『earfquake』と共に披露したアルバム6曲目『New Magic Wand』は、それまで流れていたメロウな空気から一転、内面にグツグツと煮えたぎる愛が狂気になって現れたかのような印象を与えてきます。

と思えばさらに曲中でも、スイートソウルを醸すような展開になったりなど、とにかく感情の起伏表現が非常に上手いです。

サウンドに着目すると、808bassの音圧と16分のインダストリアルなビートが曲全体の焦燥感をガッチリと生んでいます。そこに、ダイナミクスレンジのあるコーラスがローファイなのにしっかりと厚みをつくり上げているのは圧巻です。

タイラーは、表現に対して非常にストイックであり、またリスナーに表現することの素晴らしさを伝えようとしている姿が個人的には印象的です。

その名の如く、どんな『クリエイター』として歩んでいくのか、今後も注目が集まります。

■ IGOR トラックリスト

1. Igor's Theme
2. Earfquake
3. I Think
4. Exactly What You Run from You End Up Chasing
5. Running Out of Time
6. New Magic Wand
7. A Boy Is a Gun
8. Puppet
9. What's Good
10. Gone, Gone / Thank You
11. I Don't Love You Anymore
12. Are We Still Friends?

WRITER

TOY吉

洋楽なら幅広く聴きますが特にHIP HOP、R&B、ソウル、ファンクを好みます。