【アルバムレビュー】Hiatus Kaiyote『Mood Valiant(ムード・ヴァリアント)』

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洋楽コラム

今回のレビューはHiatus Kaiyote(ハイエイタス・カイヨーテ)による3枚目のスタジオ・アルバム「Mood Valiant(ムード・ヴァリアント)」

グラミーにノミネートされるなど登場当初から業界大注目だった彼らの音楽性が、さらに新しい境地に達したここ数年でも最高傑作と言われる作品です。

衝撃をもたらした『Tawk Tomahawk』、前作の『Choose Your Weapon』と続き、次々に新世代の音楽を提供してきた彼らですが、今作はその複雑さと美しさの両方がとんでもないレベルまで高まっています。

Hiatus Kayoteオリジナルな絶えることのないグルーヴはそのままに、ソウルフルでJazzyでスムースなメロディーがより一層磨き上げられています。

中でも特徴的なのはボーカルのネイパームが2018年に乳がんを患い一時的に活動を休止していて、その時の経験が本作に強く表れている点です。

一曲一曲に生への渇望と純粋な美への向き合い方が投影されていて、超絶テクニックを超えたメッセージ性を感じられます。そして今作全楽曲セルフプロデュースというのも圧巻です。

グラミー賞に2度もノミネート、世界最大のフェスであるグラストンベリーなど、数々の有名フェスティバルへの出演、日本においてもフジロック・グリーンステージ、サマーソニック、グリーンルームなどへの出演を果たすなど世界中から期待を寄せられている彼らですが、今作は2021年のARIAミュージック・アワードにおける最優秀ソウル/R&Bリリース、またミュージック・ヴィクトリア・アワードでは最優秀ヴィクトリア・アルバムにノミネートされました。

また、USビルボードのヒートシーカーズ・アルバムチャートでは1位を獲得するなど、ここからさらに飛躍が期待されます。

楽曲に関しては、アルバム8曲目の“Rose Water”のベースラインが個人的に一番のツボでした。

YouTubeHiatus Kaiyote - 'Rose Water' - YouTube

少ない音数でここまで、魅惑の雰囲気を醸し出せる彼らのスキルにただただ脱帽してしてまいます。コード進行とメロディのみでも十分すぎるほど心地の良い音楽に成立させているのですが、そこにさらに洗練されたアレンジが加わることにより、圧倒的な世界観を作り上げています。

そしてアルバム10曲目の“Sparkle Tape Break Up”。

YouTubeHiatus Kaiyote - 'Sparkle Tape Break Up' - YouTube

重たくのしかかるようなドラムパターンに、甘いネイパームのボーカルが絡みつきます。スローテンポの曲ながら重厚があり、これからの寒い季節に聴きたい曲だなと心から思いました。

アルバム全体を通して、「彼ら史上をまた更新したな。」というのが率直な感想です。素晴らしいです。

今後どのようにキャリアを重ねていくのか非常に楽しみなバンドです。

■「Mood Valiant」トラックリスト

1. Flight of the Tiger Lily
2. Sip into Something Soft
3. Chivalry Is Not Dead
4. And We Go Gentle
5. Get Sun (ft. Arthur Verocai)
6. All the Words We Don't Say
7. Hush Rattle
8. Rose Water
9. Red Room
10. Sparkle Tape Break Up
11. Stone or Lavender
12. Blood and Marrow

WRITER

TOY吉

洋楽なら幅広く聴きますが特にHIP HOP、R&B、ソウル、ファンクを好みます。