ミュージック・ビデオ監督のデイヴ・マイヤーズは洋楽ヒットの陰の功労者

BY

※本ページにはアフィリエイト広告(PR)が含まれます

洋楽コラム

ミュージック・ビデオ監督のデイヴ・マイヤーズは洋楽ヒットの陰の功労者

Dave Meyers(デイヴ・マイヤーズ)。洋楽ファンなら1度は名前を聴いたことがあるかもしれません。

Ed Sheeran(エド・シーラン)、Ariana Grande(アリアナ・グランデ)、Billie Eilish(ビリーアイリッシュ)などなど実に多くの洋楽ヒット曲のミュージック・ビデオで監督を務めている映画監督です。

彼の作品は楽曲イメージを最大限に拡張し、映像で楽曲の世界観の視野を広げることで多くのミュージック・ビデオが評価されてきました。

ミュージック・ビデオ界のMax Martin(マックス・マーティン)と読んでも大げさではないほど数多くのヒット曲にミュージック・ビデオ監督として絡んでいます。

Dave Meyersがミュージック・ビデオの監督になるまで

Dave Meyersはカリフォルニア州バークレーで生まれ育ち、17歳で地元のランドマーク映画館で働きながら、映画への愛情を育みました。バークレー高校を卒業後、ロヨラメリーマウント大学に通い、映画製作と哲学を学びました。

大学を卒業した後、マイヤーズはパラマウントとフォックスのスタジオシステムで働くようになります。そこで出会ったのがGus Van Sant(ガス・ヴァン・サント)監督。Gus Van Santは映画「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」や「ミルク」の監督として知られている一方でミュージック・ビデオの監督としても1990年のDavid Bowie(デヴィッド・ボウイ)「Fame ’90」等で知られています。

そんな彼にインスパイアを受け、Dave Meyersは焦点を長編映画製作からミュージックビデオの監督に移しました。

1990年代の主な代表作

1995年頃から自主制作による作品などの監督を務めるようになり、1997年にはヒップホップを中心に15本ものミュージック・ビデオを撮りました。Twista(トゥイスタ)「Get It Wet」や、Luke(ルーク)「Raise The Roof」等のヒット曲がありました。

Twista – Get It Wet – YouTube

Luke – Raise The Roof ft. No Good But So Good – YouTube

翌1998年も年間10本以上ものミュージック・ビデオを撮り、1999年にはBuckcherry(バックチェリー)やDef Leppard(デフ・レパード)と、ロックジャンルのビデオも撮るようになります。

Def Leppard – Goodbye – YouTube

1999年には多くのヒット曲に携わるようになり、年間25本製作という驚異的なスケジュールとなります。そして多くの作品を手がけることになるP!nk(ピンク)のデビュー曲「There You Go」でも監督を務めました。

P!NK – There You Go – YouTube

2000年代の主な代表作

2000年に入り最初に撮影したのがBritney Spears(ブリトニー・スピアーズ)のヒット曲「Lucky」。この時期のDave Meyersはミュージック・ビデオの監督として既に成功しており、この年だけで41本のミュージック・ビデオを撮り、ひっきりなしに依頼が来るブレイク期が到来します。

Britney Spears – Lucky – YouTube

2001年にリリースされたNo Doubt(ノー・ダウト)「Hey Baby」、Jennifer Lopez(ジェニファー・ロペス)ft. Ja Rule(ジャ・ルール)「I’m Real (Murder Remix)」、そしてP!nk「Get the Party Started」が翌2002年のMTVビデオ・ミュージック・アワードでそれぞれ賞を受賞。特にNo DoubtとP!nkは2部門で受賞しており、大きく貢献しました。

また2003年から2005年にかけてはMissy Elliott(ミッシー・エリオット)のシングルで立て続けに監督を務め、3年連続で受賞するという快挙。P!nkもその後2006年「Stupid Girls」、2009年「So What」で受賞しました。

Missy Elliott – Work It – YouTube

P!nk – So What – YouTube

2010年代の主な代表作

2017年にはKendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)「Humble」で監督を務めた作品としては最多となる4冠を獲得。最優秀ビデオ賞(Video of the Year)は他にも2011年にKaty Perry(ケイティ・ペリー)「Firework」、2018年にCamila Cabello(カミラ・カベロ)「Havana」で受賞しています。

Kendrick Lamar – HUMBLE. – YouTube

Katy Perry – Firework – YouTube

Camila Cabello – Havana ft. Young Thug – YouTube

YouTube再生数ランキングTOP5

YouTubeが中心的な指標になってきてからのミュージック・ビデオはやはり再生数の多さも注目されます。多くのヒット曲のミュージック・ビデオを監督してるだけあって、その再生数もすさまじい数字となっています。

Dave Meyersが監督を務めたミュージック・ビデオのYouTubeでの再生数ランキングTOP3をご紹介します。

1位 Katy Perry – Firework / 13億回
2位 Shawn Mendes, Camila Cabello – Señorita / 12億回
3位 Billie Eilish – bad guy / 11億回
4位 Ariana Grande – No Tears Left to Cry / 10億回
5位 Camila Cabello – Havana ft. Young Thug / 9.9億回

どの曲も世界中でヒットした曲ばかりです。ここまで多くの曲に関わっているのもすごい話ですね。

ここまで人気の監督になったきっかけは?

多くのアーティストの楽曲に関わるミュージック・ビデオの監督は彼以外にもたくさんいますが、ヒット曲に関わっている作品数に限ってはDave Meyersは突出しています。

海外メディアを掘り下げると、キャリアを拡大したきっかけにはJAY-Z(ジェイ・Z)が関わっているようです。

JAY-Zの作品で初めてかかわったのが1999年。「Do It Again (Put Ya Hands Up)」のミュージック・ビデオで監督を務めています。JAY-Zはマーケティング力に長けており、ビデオの公開手段やタイミングなどを見極めるのが得意でした。そしてDave MeyersはJAY-Zから聴衆を惹きつける方法などを教わったようです。

そこで知名度と実績を作るため、ミュージック・ビデオの監督だけに限らず、広告業界においてもキャリアを拡大し、アップルと協力して「iPodシルエットキャンペーン」を始め、マーケティングと広告の世界で彼の習得を引き出しました。その成果もあり、2004年には「アップルiPod」プロジェクトと数々の異なる賞を受賞し、カンヌでBronze Lion: Dance Awardを受賞しました。

その後もなるべく同じアーティストの楽曲で監督を務めるようになることで進化していき、それらがアーティストの間でも信頼につながったものと考えられます。

今後もミュージック・ビデオの監督として君臨し続ける可能性

全盛期のような2000年代前半ほどの本数はこなしてはいませんが、ミュージック・ビデオの監督に限らず多くの仕事をこなしている中でも長く関わっているアーティストが新曲を出せばビデオを撮っています。

P!nkの2021年の楽曲「All I Know So Far」でも監督を務めており、実に21年ものあいだ、P!nkのミュージック・ビデオの監督を務めています。もちろんすべてのシングルではありませんが、ここぞというときには信頼できるDave Meyersに頼んでいるんだと思います。

今後もDave Meyers(デイヴ・マイヤーズ)の活動に目が離せません。

WRITER

酒井裕紀

洋楽まっぷ管理者。米・英の音楽チャートなどのデータを好み、70年代から最新の洋楽までヒット曲なら幅広い知識を持つ。時代毎の良さがある洋楽の魅力を少しでもわかりやすくご紹介できればと思います。

人気記事