2021年のメンフィスラッパー5人の活躍と悲劇を振り返る

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洋楽コラム

アメリカ合衆国テネシー州の西端にある都市メンフィス。今年は特にメンフィス出身のアーティスト、特にラッパーにとっては多くの注目すべき出来事がありました。世界に目を向けるとパンデミックによる影響が尾を引いた1年となりましたが、今回はメンフィスラッパー5人の活躍と悲劇を振り返ってみたいと思います。

2021年のメンフィスラッパー5人の活躍と悲劇を振り返る

Pooh Shiesty

Pooh Shiesty(プー・シースティ)にとっては大飛躍の1年となりました。昨年リリースのシングル「Back in Blood」がヒットし、ビルボードホット100に初めてランクインを果たしました。しかしその一方でゲスト参加したLil Durk(リル・ダーク)にとっては今作リリースのわずか3時間前に幼なじみで親友のKing Von(キング・フォン)が亡くなるという悲劇も。キング・フォンは今作のミュージック・ビデオにも出演しており、彼に捧げられたビデオはYouTubeのアメリカのビデオチャートで1位を獲得しました。

初のミックステープ「Shiesty Season」もリリースし、ビルボードのアルバムチャートでトップ3を果たすヒットを記録しました。

Pooh Shiesty – Back In Blood ft. Lil Durk – YouTube

Moneybagg Yo

Moneybagg Yo(マネーバッグ・ヨー)は今年4枚目のアルバム「A Gangsta’s Pain」をリリースし、初の全米1位を獲得しました。メンフィス出身のアーティストが1位を獲得するのはJustin Timberlake(ジャスティン・ティンバーレイク)に続いて2人目の快挙。シングル「Said Sum」や「Time Today」などの成功もありアルバムはRIAAで初のプラチナ認定を獲得するヒットとなりました。

今作の成功を引き金に自身のレーベルBread Gangに新しい才能を見つけて契約することで事業拡大を考えているようです。

Moneybagg Yo – Time Today – YouTube

Yo Gotti

Yo Gotti(ヨー・ガッティ)は11月に最新アルバム「CM 10:Free Game」をリリースする予定でしたが延期。そのためリリース作品としてはシングル「For the Record」のみとなりました。

自身の楽曲制作も行っていましたが、どちらかと言えば自身のレーベルCMGに所属するアーティストの後ろ盾に回ることの多い1年でした。結果所属しているMoneybagg Yo(マネーバッグ・ヨー)はアルバムを成功させ、42 dugg(42ダグ)やEST Gee(エスト・ジー)もアルバムがトップ10入りを果たしました。Blac Youngsta(ブラック・ヤングスタ)のキャリア構築にも貢献しています。

レーベルとしてはメジャーレーベルInterscope、Geffen、A&Mとの新しいパートナーシップを発表しました。

Yo Gotti – For The Record – YouTube

Key Glock

Key Glock(キー・グロック)はいとこでもあるYoung Dolph(ヤング・ドルフ)との2年ぶり2枚目となるコラボレーション・アルバム「Dum and Dummer 2」をリリース。中毒性高めでダークな世界観が特徴的でトップ10入りを果たしました。また自身にとっても11月リリースの2枚目のスタジオ・アルバム「Yellow Tape 2」でトップ10入りを果たしています。

どちらも続編に位置付けられたタイトルになっていますが、本人は続編というものは好きではなく、曽祖母の好きな色が黄色だったため使用しているとコメントしています。

Young Dolph, Key Glock – Penguins – YouTube

Young Dolph

Young Dolph(ヤング・ドルフ)の死はメンフィス今年最大の悲劇と言っても過言ではありません。多くのアーティストがコメントを発表し、現在も容疑者の情報や動機など事件の詳細に進展がない状態。

通っていた高校に定期的に寄付金を贈り、感謝祭の時期には癌治療センターを自ら訪問し七面鳥をプレゼントするなど地元コミュニティーとの積極的なかかわりを持っていた彼の名前が、メンフィス内の通りの名前になることをメンフィス市議会によって承認されました。式典には5000人以上のファンが集まったそうです。

リリースとしてはKey Glock(キー・グロック)とのコラボレーション・アルバム「Dum and Dummer 2」、そして自身のレーベルPaper Route Empireのコラボレーション・アルバム「Paper Route Illuminati」がリリースされました。

Young Dolph, Key Glock – Aspen – YouTube

まとめ

大活躍と悲劇がどちらも備わってしまった1年となったメンフィスですが、音楽に積極的な街は他のも多くのアーティストがこの街で暮らしており、来年新たな世代も登場するかもしれません。

余談ですがメンフィスは音楽に積極的な街でユニークな音楽設備が充実していますが、今年6月に新たにメンフィス・リスニング・ラボがオープン。たくさんの音楽が無料で聴ける施設で、リスニングセッション、レコードリリースパーティーも開催できるなど音楽に特化した施設です。このような環境に少しだけうらやましく思います。

以上、「2021年のメンフィスラッパー5人の活躍と悲劇を振り返る」でした。

WRITER

酒井裕紀

洋楽まっぷ管理者。米・英の音楽チャートなどのデータを好み、70年代から最新の洋楽までヒット曲なら幅広い知識を持つ。時代毎の良さがある洋楽の魅力を少しでもわかりやすくご紹介できればと思います。

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