【洋楽】史上最も人気のある100のロックバンドを出身地域別に紐解く【ランキング考察vol.2】

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洋楽コラム

【洋楽】史上最も人気のある100のロックバンドを出身地域別に紐解く【ランキング考察vol.2】
IMAGE VIA:Beatles Debut on the Ed Sullivan Show - beatle.net

前回、史上最も人気のある100のロックバンドから2000年代のバンドに注目し、2000年以降のバンドがわずか12組しかいないということに着目してみました。

これは2018年、ウォール・ストリート・ジャーナルが掲載した「The 100 most popular rock bands of all time(史上最も人気のある100のロックバンド)」という記事をもとにした考察です。

今回は別の視点で、地域別に着目してみたいと思います。

バンドの出身地域別比較

バンドの出身地域別上位5組

1位 イギリス・ロンドン / 12組(レッド・ツェッペリン[2位])
2位 カリフォルニア州・ロサンゼルス / 10組(イーグルス[7位])
3位 イリノイ州・シカゴ / 5組(シカゴ[21位])
4位(同率) カリフォルニア州・サンフランシスコ / 4組(ジャーニー[18位])
4位(同率) ワシントン州・シアトル / 4組(フー・ファイターズ[34位])

ロンドン出身のバンドがダントツなのはあきらかに「ブリティッシュ・インヴェイジョン」が影響しているようで、60年代に結成されたバンドがこのブームでアメリカで多くのヒット曲を出しています。

またあらゆるジャンルの音楽が根付くシカゴ出身のバンドが多いのも実は注目すべき点かもしれません。最近だとどうしてもヒップホップのイメージが強いですが、大元にはやはり地域名をそのままバンド名とした「シカゴ」。ただシカゴは結成場所であって主な活動拠点はロサンゼルスだった点も興味深い話です。

ロサンゼルスと言えばロックの聖地と言われるナイトクラブ「ウィスキー・ア・ゴーゴー」。ただこの辺り少しややこしいですが厳密にはロサンゼルスではなく住所で言うとウェスト・ハリウッド。アメリカ以外の国から来たバンドがまず訪れると言われるロックの生誕地とも言われています。イギリス出身のバンドも多くここでライブ活動を行っていたようです。

Whisky A Go-Go
IMAGE VIA:The World Famous Whisky A Go-Go on the Sunset Strip, West Hollywood CA

バンドの出身国・州別上位5組

1位 カリフォルニア州 / 26組(イーグルス[7位])
2位 イギリス / 25組(ビートルズ[1位])
3位(同率) イリノイ州 / 6組(シカゴ[21位])
3位(同率) フロリダ州 / 6組(レーナード・スキナード[27位])
5位 ワシントン州 / 5組(フー・ファイターズ[34位])

カリフォルニア出身、イギリス出身のバンドだけで半数を超える51組のバンドが成功しているという点に注目すべきポイントがありそうです。

おそらく史上最も人気のあるロックバンドの発祥は「ブリティッシュ・インヴェイジョン」と、映画などあらゆるエンターテインメントの重要都市でもあるロサンゼルスを中心としたカリフォルニアにあるのかもしれません。

これは商業的戦略によって成功してきたバンドに根付く人気がかなり影響していそうですね。

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商業ロックの基礎を築いた1960年代

つまり十分な制作環境があった都市にイギリス出身のバンドも次々をやってきてここからロックが広まっていった、それが1960年代なのかもしれません。

ポップ・ミュージックの基礎となったと言われるのが1964年。同じくロックもこの時期一気に商業的になった部分は否めません。

前回まとめたように最もランクインしてるのが1970年代に誕生したバンドで25組。続く24組が誕生したのが1960年代。間違いなく音楽が活況だった時代はこの辺りですが、おもしろいのが全体的な推移を辿ると80年代以降の方が圧倒的に活況になっています。

U.S. Recorded Music Revenues by Format
IMAGE VIA:U.S. Sales Database – RIAA

残念ながら1960年代のデータはなさそうですが、上記はRIAA(アメリカレコード協会)による商業的な推移。1960年代の成功から音楽を志しバンドを組み成功するミュージシャンが増え、人気も細分化されていったのかもしれません。

イギリス出身バンドがアメリカで成功した例

イギリス出身バンドが初めてビルボードホット100で1位を獲得したのはThe Beatles(ビートルズ)、ではないんですよね。

バンド以外ではクラリネット奏者のMr. Acker Bilk(アッカー・ビルク)が1962年にリリースした「Stranger on the Shore(白い渚のブルース)」。同じく1962年にインストゥルメンタル・バンド、The Tornados(ザ・トルネイドース)が「Telstar(テルスター)」で1位を獲得しています。

ビートルズが初めて1位を獲得したのは1964年、「I Want to Hold Your Hand(抱きしめたい)」でした。この曲を合わせて1年で6曲もの1位を獲得する驚異的な人気だったのは言うまでもありません。

The Beatles – I Want To Hold Your Hand – Performed Live On The Ed Sullivan Show 2/9/64 – YouTube

1965年以降は他にも多くのバンドが1位を獲得しており、1年に数組しか1位を獲得していない現状を考えるとこの時期「ブリティッシュ・インヴェイジョン」の影響が大きかったのがわかります。

ロサンゼルス出身バンドが成功した例

ロサンゼルス出身バンドで最も成功しているのはアメリカ国内だけで総売り上げが1億枚を超えている数少ないバンド、Eagles(イーグルス)。ただイーグルスの売れ方は少し特殊で、デビュー曲からヒットは飛ばし続けたものの決して爆発的な人気ではなく、1975年のコンピレーション・アルバム「Their Greatest Hits 1971-1975」がリリースから未だに売れているという驚異的に幅広い認知力にあります。

Eagles perform “Hotel California” at the 1998 Rock & Roll Hall of Fame Induction Ceremony – YouTube

また幅広いジャンルのバンドが成功している点も注目できます。

カントリーロックが初期の主流だったイーグルスとは違い、同じくロサンゼルス出身バンドで世界的に最も成功を収めたメタルバンドとしてもしられるMetallica(メタリカ)やGuns N’ Roses(ガンズ・アンド・ローゼズ)。ポップ要素の強いMaroon 5(マルーン5)など多岐にわたるのも特徴です。

Metallica: Enter Sandman – YouTube

Guns N’ Roses – Sweet Child O’ Mine – YouTube

Maroon 5 – Makes Me Wonder – YouTube

アメリカ音楽の歴史が見えてくるランキング

結局のところアメリカの音楽で人気のあるバンドは「ブリティッシュ・インヴェイジョン」の影響でアメリカに進出し成功したバンドや、ロサンゼルスを中心としたカリフォルニア州出身のバンドが特に人気が高いという結果になっています。

あくまでロックバンドの視点なのでジャンルが変わればまるで違う歴史とはなりますが、深掘りしてみるとどうしてもぶつかる1960年代~1970年代の深掘りは尽きません。

それは筆者がその時代に生まれていないという点も大きいのですが、角度を変えれば見えてくることも大きいですね。

以上、「史上最も人気のある100のロックバンドを出身地域別に紐解く」でした。

参考情報:100 Most Popular Rock Bands of All Time – 24/7 Wall St.

WRITER

酒井裕紀

洋楽まっぷ管理者。米・英の音楽チャートなどのデータを好み、70年代から最新の洋楽までヒット曲なら幅広い知識を持つ。時代毎の良さがある洋楽の魅力を少しでもわかりやすくご紹介できればと思います。

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