MR.BIGを振り返る – パット・トーピー亡き後のバンドメンバーの現在

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洋楽コラム

MR.BIGを振り返る - パット・トーピー亡き後のバンドメンバーの現在
IMAGE VIA:Louder

MR.BIG(ミスター・ビッグ)は日本でも人気が高いロック・バンド。

2018年にオリジナルメンバーのパット・トーピーが亡くなり、その後バンドメンバーはどのような活動をしているのでしょうか。

MR. BIGを振り返る

1988年、ベーシストのBilly Sheehan(ビリー・シーン)が当時在籍していたバンドを脱退後、新たなバンドを作るため、アメリカのヘヴィメタルを中心に扱うインディーズレーベル、シュラプネル・レコーズのマイク・ヴァーニーの助けを借り、ソロ・アーティストのEric Martin(エリック・マーティン)、シュラプネル・レコーズに在籍していたバンド、Racer Xのギタリスト、Paul Gilbert(ポール・ギルバート)、ザ・ナックのメンバーだったドラマーのPat Torpey(パット・トーピー)が加わり結成。

翌1989年、アトランティック・レコードと契約し、デビューアルバム『Mr. Big(ミスター・ビッグ)』をリリースしました。

日本ではデビュー当初より人気があり、デビューアルバムは全英チャートで60位、ビルボード200では46位、そして日本のオリコンチャートでは22位と最も高いチャートアクションとなりました。

Mr. Big – Addicted To That Rush – YouTube

その後1992年、シングル「To Be with You」が初の全米1位を獲得。この曲はビルボードホット100に初めてエントリーし、そのまま1位を取るという快挙となりました。その他10カ国で1位を取りバンドの代表曲となります。

Mr. Big – To Be With You – YouTube

この曲が収録されたアルバム「Lean into It」もヒットし、100万枚以上を売り上げますが、このヒットによって次の作品へのプレッシャーと戦いながら3枚目のスタジオ・アルバム「Bump Ahead」を制作します。バンドは演奏スキルの高さに定評がある反面、アコースティックベースの「To Be with You」がヒットしたため幅広い曲作りができるも、求められるのは「To Be with You」のような曲。結局アルバムからは「Wild World」がシングル化されますが、ヒットはするものの「To Be with You」ほどではありませんでした。

Mr. Big – Wild World – YouTube

4枚目のアルバム「Hey Man」は日本で初の1位を獲得しますが、全米、全英ともにチャート入りを果たせず、1999年にはポールが脱退。2002に解散します。

2009年に再結成後、オリジナルメンバーでは約15年ぶりとなるアルバム「What If…」をリリース。その後2014年にパットが2年前よりパーキンソン病を患っている事を公式に発表。パットの演奏に影響が出たため、マット・スターがサポートメンバーとして加わりました。

2017年の来日公演がパットの最後の日本公演となり、翌2018年合併症によって亡くなりました。パットの死によってマットのサポートも終了しました。

バンドメンバーの現在

ビリー・シーン

ビリー・シーンは現在、SKILLS(スキルス)というバンドに参加しており、5月13日にデビュー・アルバム『Different Worlds』がリリースされる予定。MR.BIGの今後については何も決まっていないと語っています。

Skills – Blame It On The Night – YouTube

「Lean Into It」の30周年記念盤をリリースしたことをきっかけに、MR.BIGのオフィシャルYouTubeチャンネルで「Daddy, Brother, Lover, Little Boy」のベースプレイを公開。アドリブ満載の必見の演奏です。

Daddy, Brother, Lover, Little Boy (Bass playthrough by Billy Sheehan) – YouTube

ポール・ギルバート

MR.BIGの活動があった時期でもソロ・アルバムをコンスタントにリリースしてきたポール・ギルバート。パットの死後、2019年に「Behold Electric Guitar」をリリースし、コロナ前だったこともあり日本ツアーを行いました。その後2021年には「Werewolves of Portland」、そして初のクリスマス・アルバム「’Twas」をリリース。

「Lean Into It」の30周年記念盤をリリースしたことをきっかけに、MR.BIGのオフィシャルYouTubeチャンネルで「Green Tinted Sixties Mind」のギタープレイを公開しています。

Mr. Big – Green Tinted Sixties Mind (Guitar playthrough by Paul Gilbert) – YouTube

エリック・マーティン

エリック・マーティンは2019年にパットの死後のアルバムの計画があることを明かしていましたが、現時点で進展はありません。これはパンデミックの影響もあるかもしれませんが、エリックはパットのいない中で続けるのは少し不快に感じると述べており、当時はバンドの継続について一番後ろ向きな考えだったのかもしれません。

今年に入り、ブラジルを拠点とするマルセロ・ビエイラ・ミュージックのマルセロ・ビエイラからインタビューを受け、MR.BIGの楽曲の中で歌えなくなっている曲があることを認めました。これはJon Bon Jovi(ジョン・ボン・ジョヴィ)が80年代のヒット曲「Livin’ On A Prayer」を50代になった今でも歌い続けることを知っていたら、若い頃はこんなに高く歌うことはなかっただろうとマルセロに語っていたことをエリックに伝え、「僕も同じことを考えていた」と話した事から明かしたもの。

ボン・ジョヴィもMR.BIGも、特に初期の代表曲はキーが高く難易度も高いのが特徴。エリックはまさに年齢的な問題や体力的な問題、声の問題などに直面しているようです。

パットのいないMR. BIGは復活するのか?

MR.BIGの歴史を簡単ですが振り返り、パット・トーピー亡き後のバンドメンバーの現在についてまとめてみました。

解散はしていないものの3人が集まることもほぼ無く、「Lean Into It」30周年記念盤リリースの際にもそれぞれがコメントを出す形になりました。

MR.BIGはビリーとポールの卓越したテクニック、ハードロックを主体として始まったのにポップさすら感じる卓越したメロディライン、エリックの高いボーカルパフォーマンス力、そしてパットの卓越した安定性のあるドラム、これらが揃ってこそがMR.BIGだと思います。

ただもう1度、アルバムを聴いてみたい気もしますので復活するのかどうか、海外ではコロナ禍の中でも普通の生活になってきている今、再び3人が集まることがあるのか、気になるところです。

最後に個人的におすすめしたい曲をご紹介していきます。

Mr. Big – Loves Makes You Strong – YouTube

Mr. Big – Colorado Bulldog – YouTube

Mr. Big – The Whole World’s Gonna Know – YouTube

Mr. Big – Stay Together – YouTube

WRITER

酒井裕紀

洋楽まっぷ管理者。米・英の音楽チャートなどのデータを好み、70年代から最新の洋楽までヒット曲なら幅広い知識を持つ。時代毎の良さがある洋楽の魅力を少しでもわかりやすくご紹介できればと思います。

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