【アルバムレビュー】Childish Gambino『Awaken, My Love!(アウェイクン・マイ・ラヴ!)』

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洋楽コラム

今回のレビューはChildish Gambino(チャイルディッシュ・ガンビーノ)による3枚目のスタジオ・アルバム「Awaken, My Love!(アウェイクン・マイ・ラヴ)」

それまでのラップの流れをサッと変えるようにジャンルから離れ、ファンク全盛期の良さが詰め込まれたような70年代サウンドの良さをふんだんに取り入れたアルバムです。

ラッパーやシンガーだけでなく、俳優、コメディアン、脚本家など様々な才能が光るエンターテイナーのチャイルディッシュ・ガンビーノことドナルド・グローヴァーですが、「スパイダーマン:ホームカミング」、テレビドラマ「Girls」など多くのフィールドでの活躍は素晴らしいものがあります。

そして、音楽でもその表現の軸は変わらず、今作ではファンク、ソウル、ヒップホップ、ブルースなどジャンルを横断してクオリティの高いオリジナルサウンドを創り出しています。

情熱的で歯切れが良く、美しいだけでなく、泥臭いどこか儀式的な音楽の根源的素晴らしさを感じることのできる今作は時代の流れも汲んで多くの人に届く形になっているかと思います。

前作の『ビコーズ・ザ・インターネット』でもグラミー賞「最優秀ラップ・アルバム」にノミネートし、全米チャート7位を獲得したチャイルディッシュ・ガンビーノですが、今作も第60回グラミー賞において“年間最優秀アルバム賞”と“年間最優秀レコード賞”の主要2部門を含む5部門にノミネートされました。
また、トリプル・プラチナ・ディスク(300万枚)を達成するなどその影響はさらに大きくなっています。

楽曲に関しては、まず注目したいのはアルバム2曲目の“Have Some Love”。

Childish Gambino – Have Some Love – YouTube

曲の入りから、「あーこれこれ。」と言いたくなるようなコーラスワーク。P−FUNKの影響が溢れていて、思わず体が動きだしてしまいます。
後半部分のソウルフルなアレンジも、最高にオシャレで飽きさせません。

そしてアルバム9曲目の“Baby Boy”。

Childish Gambino – Baby Boy – YouTube

哀愁のあるブルージーでファンキーなクラビネットが、彼の美しい歌声とコーラスワークを引き立てて雰囲気を作り上げています。

アルバム全体を通してバラエティに富んでいながら、一貫して美しい70代の空気感に溢れており、ジャンルの横断がキレイに纏まっている印象でした。

古きを温めて新しきをつくる。まさにそういったプロセスで現代の先端をゆく作品なのではないでしょうか。

■「Awaken, My Love!」トラックリスト

1. Me and Your Mama
2. Have Some Love
3. Boogieman
4. Zombies
5. Riot
6. Redbone
7. California
8. Terrified
9. Baby Boy
10. The Night Me and Your Mama Met
11. Stand Tall

WRITER

TOY吉

洋楽なら幅広く聴きますが特にHIP HOP、R&B、ソウル、ファンクを好みます。

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