【アルバムレビュー】Tom Misch『Geography(ジオグラフィー)』

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洋楽コラム

今回のレビューはTom Misch(トム・ミッシュ)によるデビュー・スタジオ・アルバム「Geography(ジオグラフィー)」

EPやミックステープでその才能を世に知らしめたトム・ミッシュによる、若干20歳にしてネオソウルのギターの一つの到達点になったアルバムです。

今作は前作までと同様にビートミュージックからアシッド・ジャズ、UKソウル、などといったエッセンスがふんだんに感じられるシンガー・ソングライターとして彼のソングライティングの特徴が表れているのですが、そのことよりもストレートに美しいポップソングとしての気持ちよさが強く感じられます。

言わずもがな彼のギタースキルはいちミュージシャンとしても一級品で、どことなくジョン・メイヤーのような親しみやすさを内包しています。また、クルセイダーズの隠れた名曲をサンプリングするなど細かい遊び心やhiphop的志向も持ち合わせて、さらにはディスコリバイバルも取りこぼさないという隙のなさで初のスタジオアルバムにふさわしい新境地を開拓しています。

そして、今作はUSのビルボードトップジャズアルバムで2位を獲得するなど80年代から90年代に青春を過ごした世界中のミュージックラバー達から非常に高い評価を得ています。日本でもCDショップ大賞の洋楽賞を受賞、単独公演やGREENROOM FESTIVAL’19、サマーソニックなどの大型フェスへの出演も果たしました。

楽曲に関しては、アルバム6曲目の“It Runs Through Me”における軽快なグルーヴギターがたまりませんでした。

Tom Misch – It Runs Through Me (feat. De La Soul) – YouTube

トラックに使われている楽器の数がそこまで多いわけではないのですが、曲の展開のさせ方や、ダイナミクスの生み出し方が非常に洗練されており大きなホールで聴いているかのような迫力があります。

そしてアルバム8曲目の“Disco Yes”。

Tom Misch – Disco Yes (feat. Poppy Ajudha) – YouTube

この曲はなんといってもイントロのキメのギターがキャッチーすぎて一瞬で引き込まれます。

ギターだけでなくベースラインもシンプルながら非常に耳に残り、彼の気怠げなボーカルとの相性が抜群です。タイトルの通り、ディスコソングとしても最高にノれる一曲になっています。

アルバム全体を通して、「トム・ミッシュはこのジャンルだ!」と決められないくらい色々な魅力が詰まっている作品だと思いました。

まだまだこれから大きく躍進していくこと間違いなしのアーティストなので、今後も注目していきたいです。

■「Geography」トラックリスト

1. Before Paris
2. Lost in Paris (ft. GoldLink)
3. South of the River
4. Movie
5. Tick Tock
6. It Runs Through Me (ft. De La Soul)
7. Isn’t She Lovely
8. Disco Yes (ft. Poppy Ajudha)
9. Man Like You
10. Water Baby (ft. Loyle Carner)
11. You’re on My Mind
12. Cos I Love You
13. We’ve Come So Far

WRITER

TOY吉

洋楽なら幅広く聴きますが特にHIP HOP、R&B、ソウル、ファンクを好みます。

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