洋楽まっぷ編集部が選ぶ2025年のおすすめ曲20選をそれぞれご紹介しながら、2025年の洋楽事情を振り返ってみたいと思います。
今年も多くのアーティストが来日公演を行い、洋楽離れといった言葉もある中で少しずつでも洋楽が聴かれる機会が再び増えてきているのではないかと感じる1年でした。
2026年も既に多くのアーティストがツアー・スケジュールを組んでおり、今から楽しみでなりません。
2025年の洋楽振り返り
今年は大きく分けると「ロングヒット」、「来日」、「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ」、「ニューカマー」、「AI」とこの5つの視点が挙げられると思います。
この5つの視点から振り返っていきたいと思います。
ロングヒット
年々増加傾向にあるロングヒットソング。2025年の音楽業界では、ストリーミングサービスの普及とアルゴリズムの進化により、楽曲が長期間チャートに留まる「ロングヒット」現象がより顕著となりました。中でも特定の楽曲が再生回数を稼ぎ続ける仕組みが影響し、昨年のヒットソングが引き続き聴かれ続けるといった現状を生み出しました。結果として米ビルボードホット100ではTeddy Swims「Lose Control」が80週(約1年5カ月)もトップ10入りし続けることとなり、他にもShaboozey「A Bar Song (Tipsy)」が66週、Lady Gaga & Bruno Mars「Die with a Smile」が51週と1年近くランクインし続けることに。
もちろんこれまでもロングヒットする曲はありましたが、この長さはあまりにも異例でビルボードは10月にリカレント(チャート除外)ルールを改定し、新しい曲がランクインしやすくなるよう仕組みを改善しました。
来日
今年も多くのアーティストの来日公演が行われましたが、やはり一番話題となったのがオアシスではないでしょうか。オアシスは2009年の解散以来、16年ぶりとなる再結成ツアーの一環として、2025年10月25日と26日に東京ドームで来日公演を行いました。これは、2024年の再結成発表後、2025年からのワールドツアーとして実現したもので、多くのファンを熱狂させ、奇跡の復活と称賛されました。
他にも15年ぶりとなる単独日本ツアーを開催したグリーン・デイや約7年ぶりの公演となったマライア・キャリー、他にも多くのアーティストが来日公演を開催。2026年もワンリパブリックやマイケル・シェンカー、レディー・ガガなどの公演が既に決定しています。
KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ
世界中で大ヒットとなったのがNetflixアニメーション『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』。このサウンドトラックからを含む多くの曲が大ヒットとなりました。中でも「Golden」はビルボード・グローバル200で1位を獲得し、韓国、イギリス、アメリカを含む30カ国以上でチャート1位を獲得しました。さらに、20カ国以上でもチャートトップ10入りを果たしました。グラミー賞では、年間最優秀楽曲賞を含む4部門にノミネートされました。
これは韓国人アーティストによるグループではなく、映画の中で登場した架空のグループによる成果という点も注目すべきところで、映画に登場する3人組ガールズグループHUNTR/X(ハントリックス)の歌声を担当したEJAE(イジェ)、Audrey Nuna(オードリー・ヌナ)、REI AMI(レイ・アミ)の3人はアメリカの音楽番組に出演して以降、いくつかの番組やイベントに登場しヒットを後押ししました。
ニューカマー
2024年はテディ・スウィムズ、ベンソン・ブーンなどの男性アーティストに注目が集まりましたがその傾向は今年も続き、新たにアレックス・ウォーレンやソンバー、マイルズ・スミスなどのアーティストが本格ブレイクを果たしました。他にも今年はオリヴィア・ディーンやドーチーもヒットを生み出しました。
またローラ・ヤングやレイヴン・レネーなどヨーロッパ方面で先にブレイクしてからアメリカでも成功したアーティストも多く、その筆頭はアレックス・ウォーレンやオリヴィア・ディーンと言えます。ローラ・ヤングやマイルズ・スミス、オリヴィア・ディーンなどイギリス出身アーティストの活躍も目立つ1年となりました。
AI
AIの進化も触れるべき話題かもしれません。AIで作成された楽曲がアメリカのチャートにランクインする事例があったのも2025年注目の話題のひとつと言えます。例えばAIによって生成された楽曲「Walk My Walk」が、ビルボードの「Country Digital Song Sales」チャートで1位を獲得。このトラックは実在しない架空アーティストBreaking Rustの作品でありながら、Spotifyで数百万回の再生数を記録し、AI音楽として異例の商業的成功を収めました。こうした動きは、AI生成曲が現実のデジタル楽曲セールスでトップを飾った初の事例として大きな話題となりました。
Breaking Rust - Walk My Walk - YouTube
ビルボードの複数週にわたりAIまたはAI支援のアーティストが定期的にチャート入りしたことで、これらのヒットは音楽ファンや業界関係者の間で活発な議論を引き起こしました。AIが人間アーティストに取って代わる可能性への懸念、著作権や倫理の問題、そしてAI音楽の評価基準の再構築など、多方面で議論が巻き起こっています。来年はさらにこういった事例が増えるかもしれません。
それでは次に洋楽まっぷ編集部が選ぶ2025年のおすすめ曲を20曲ご紹介いたします。
ヒット曲から是非聴いてほしい曲まで厳選しましたので、もし知らない曲があればこの機会に楽しんでみてください。
洋楽まっぷ編集部が選ぶ2025年のおすすめ曲20選
1. Alex Warren - Ordinary
Alex Warren - Ordinary - YouTube
アレックス・ウォーレンは「Ordinary」の成功によって本格的なブレイクを果たしました。TikTokでのバイラルを機に一気に人気が高まり、ビルボードホット100で長期間上位に滞在し、全英チャートでも年間最大ヒットに輝くなど夏の代表曲として定着。シンプルで感情に寄り添う歌詞とメロディが多くのリスナーの共感を呼び、アレックス・ウォーレン自身も2025年にライブやフェス出演が増えるなど躍進の年となりました。
2. Sombr - Back to Friends
sombr - back to friends - YouTube
「Back to Friends」は、TikTokを起点に世界中で話題になったインディー・ポップのヒット曲。別れた後の微妙な感情を繊細に描いた歌詞が共感を呼び、ビルボードホット100でもトップ10入り。オーストラリアやヨーロッパ各国でも上位にランクインし、アーティストとしての存在感を確立しました。ソンバーはMTVビデオ・ミュージック・アワードでビデオ賞を受賞するなど注目を集め、2025年のブレイクアーティストの一人に。
3. Taylor Swift - The Fate of Ophelia
Taylor Swift - The Fate of Ophelia - YouTube
「The Fate of Ophelia」は、2025年最大のヒット曲の一つとして君臨しました。リリース直後にビルボードホット100で1位を獲得し、8週間連続というロングラン首位を達成。全英チャートでも歴代最長となるノンストップ首位を記録するなど世界的な成功を収め、テイラー・スウィフトのキャリアに新たな金字塔を打ち立てました。またこの曲を収録したアルバム『The Life of a Showgirl』はたった1週間の売上で年間首位となる偉業を達成しました。
4. Sabrina Carpenter - Manchild
Sabrina Carpenter - Manchild - YouTube
昨年大活躍だったサブリナ・カーペンターが2025年に放った「Manchild」は、大人になりきれない恋愛観をポップに切り取った楽曲。リリースから多くのプレイリストで取り上げられ、チャートでも好成績を残しました。この曲を収録したアルバム『Man's Best Friend』をビルボード200で首位を獲得し、キャリアの飛躍の年となりました。歌詞のユーモアとキャッチーさが多くのファンを惹き付けました。
5. Tate McRae - Sports car
Tate McRae - Sports car - YouTube
「Sports Car」は2025年のヒット曲として複数国のチャートに顔を出し、特にカナダやオーストラリアなどでトップ10入りするなど国際的な成功を収めました。キャッチーなメロディとダンス・ポップ調のサウンドが特徴で、テイト・マクレーはこの曲を通じてグローバルなポップスターとしての地位をさらに確固たるものにしています。
6. Morgan Wallen ft. Tate McRae - What I Want
Morgan Wallen - What I Want (feat. Tate McRae) - YouTube
「What I Want」は、カントリーとポップを融合したクロスオーバーなヒット。ビルボードホット100では首位を獲得し、テイト・マクレーにとっては初のホット100首位となり、モーガン・ウォーレンとの共演はジャンルの壁を越えた試みとしても注目されました。コーラスのハーモニーは想像以上の相性で完成度の高い曲になっています。
7. Kendrick Lamar & SZA - luther
Kendrick Lamar & SZA - luther - YouTube
「Luther」は、2025年を通じてヒップホップ/R&Bシーンの象徴的なコラボとなりました。深いリリックと緻密なプロダクションが評価され、チャートでも高い位置をキープ。ケンドリック・ラマーは昨年の勢いに乗ったまま第59回スーパーボウルのハーフタイムショーの影響も大きく、シザとのスタジアム・ツアーも注目されました。
8. Tyler, The Creator - Sticky feat. GloRilla, Sexyy Red & Lil Wayne
Tyler, The Creator - Sticky feat. GloRilla, Sexyy Red & Lil Wayne - YouTube
「Sticky」は、ヒップホップ界隈で大きな話題となった曲です。独自のビートとパンチのあるフロウが特徴で、複数のラップチャートで成功を収めました。タイラー、ザ・クリエイターのクリエイティブ性が際立つ一曲であり、2025年のヒップホップシーンを語る上でも外せないコラボレーションとなっています。
9. Doechii - Anxiety
「Anxiety」は、タイトル通り不安や心の葛藤をテーマにした楽曲で、リスナーの共感を大きく呼びました。チャート上位には届かなかったものの、SNSで広くシェアされ、若いリスナーを中心に熱い支持を集めました。ドーチー自身も音楽フェスやライヴでこの曲を披露しつつ、2025年の注目アーティストの一人として評価を高めました。
10. Central Cee ft. 21 Savage - GBP
Central Cee & 21 Savage - GBP - YouTube
セントラル・シーは今年更なる飛躍を遂げた1年だったと言えるかもしれません。デビュー・アルバム『Can't Rush Greatness』は全英1位を獲得し、ビルボード200でもトップ10入り。特にこの曲はUKラップを代表するセントラル・シーが、USヒップホップの象徴的存在である21サヴェージを迎え、2025年の英米クロスオーバーを象徴する1曲となりました。全英シングルチャートではトップ10入りを果たし、アメリカでもビルボードホット100にランクイン。国境を越えた支持を獲得しました。セントラル・シーは2026年に来日公演も予定されており、日本での人気も拡大しそうな勢いです。
11. Leon Thomas - MUTT
「Mutt」は2025年に注目を集めた楽曲で、レオン・トーマスのソウルフルな歌声とエモーショナルな表現が特徴です。ストリーミングでも高い再生数を記録し、Spotifyの年間集計でも上位にランクインしました。ヒップホップやR&Bの影響を受けたサウンドは、リスナー層の幅広い支持を受け、ライブパフォーマンスでも高評価を得て、アーティストとしての存在感を確立した1曲となりました。
12. Sam Fender ft. Olivia Dean - Rein Me In
Sam Fender - Rein Me In (feat. Olivia Dean) - YouTube
「Rein Me In」は、サム・フェンダーとオリヴィア・ディーンの感性が交差するドラマティックなコラボレーションです。サム・フェンダーのロック的な強さとオリヴィア・ディーンのソウル溢れる歌唱が融合し、楽曲全体に力強さと情感を与えています。主に全英チャートやストリーミングでも人気を集め、特にヨーロッパ圏で好成績を残しました。双方のツアーでもセットリストに組み込まれ、2025年のベスト・デュエットの一つとして評価されています。
13. Olivia Dean - Man I Need
Olivia Dean - Man I Need - YouTube
「Man I Need」は、2025年を通して多くのファンに支持されたソウルフルなポップ楽曲です。落ち着いたトーンながらも情感豊かなメロディと歌唱が特徴で、全英チャートで1位、ビルボードホット100でも初のトップ10入りを果たしました。Spotifyでも500M超の再生を記録し、オリヴィア・ディーン自身の世界的な認知度を高めるきっかけとなりました。ライブ演出でもこの曲がハイライトとなり、オリヴィア・ディーンの音楽的成熟を感じさせる作品です。
14. The Weeknd - Cry For Me
The Weeknd - Cry For Me - YouTube
「Cry for Me」は、ザ・ウィークエンドのダークでドラマティックなR&Bサウンドを体現する1曲です。2025年のアルバム収録曲としてリリースされ、ポップとR&Bの境界を滑らかに行き来する構成が特徴。ビルボード・チャートでも上位をキープし、ラジオやストリーミングでも高い再生数を記録しました。ワールド・ツアーを成功させ、シーン全体に強い影響力を持ち続けたザ・ウィークエンド。次の章ではどのような活動となるのかも注目です。
15. Ed Sheeran - Sapphire
Ed Sheeran - Sapphire - YouTube
「Sapphire」は、エド・シーランのシグネチャーともいえるメロディアスなポップ・バラードです。2025年リリース後、全英チャートを中心に上位にランクインし、全英での長期的なヒットとなりました。歌詞は恋愛や人生の複雑な感情を繊細に描写し、歌詞の深さが改めて評価されています。世界各地のストリーミングでも再生数を伸ばしました。
16. EsDeeKid - 4 Raws
「4 Raws」は、アンダーグラウンドから火がついたヒップホップトラック。独特のフローとリズムでSNSで注目され、チャートでも局地的に人気を集めました。メインストリームのポップほどの大規模なヒットではないものの、ファンコミュニティを中心に支持され、2025年の新しいラップ・サウンドの一例として注目されました。多くのストリーミング・プレイリストにもピックアップされ、エスディーキッド自身のキャリアにも勢いを与えました。
17. Lady Gaga - Abracadabra
Lady Gaga - Abracadabra - YouTube
「Abracadabra」は、2025年のダンス・ポップシーンを盛り上げたアンセムです。リリース直後からダンス・ポップチャートで成功し、ビルボードのホット・ダンス/エレクトロニック・ソングス・チャートでも上位入りを果たしました。この曲で再びダンス・ミュージック界への強い影響力を示し、ツアーやフェス出演も活発に行いました。エレクトロニックで華やかなサウンドと、レディー・ガガならではのステージ演出が多くのファンを魅了しました。レディー・ガガも来月、待望の来日公演を控えています。
18. Myles Smith - Nice To Meet You
Myles Smith - Nice To Meet You - YouTube
「Nice to Meet You」は、2025年に話題を集めた新進アーティストによるポップ/R&Bソングです。オーストラリアや一部ヨーロッパで特に人気を博し、Spotifyのデイリーチャートでも高位置にランクインしました。マイルズ・スミスは若い感性とキャッチーなメロディで注目を集め、今後の作品にも期待が寄せられています。2025年はライブ出演も増え、シーン内で存在感を高める重要な1年となりました。
19. Kehlani - Folded
「Folded」は、自己肯定や失恋からの立ち直りをテーマにしたR&Bソング。ストリーミングでも安定した再生を記録し、ビルボードホット100ではキャリア初のトップ10入りを果たしました。ケラーニ自身は2025年もツアーや音楽フェスに積極的に出演し、ソロアーティストとしての確固たるポジションを維持しています。繊細な歌声とメロディはファンから高い評価を得ました。
20. Justin Bieber - YUKON
Justin Bieber - YUKON - YouTube
最後はジャスティン・ビーバー。4年ぶりとなったアルバム収録曲「Yukon」は、2025年のリリース曲として彼の成熟したサウンドを象徴するトラックです。リリース後、カナダ・アメリカ・全英チャートで安定した位置を維持し、アルバム全体のストリーミングも好調でした。第68回グラミー賞では最優秀R&Bパフォーマンス賞にノミネートされています。こう振り返ると今年はR&Bのヒットソングが多かった印象です。
まとめ
世界的なヒット曲を中心に20曲選んでみました。気に入った曲が見つかれば嬉しいです。
そして2025年の洋楽について「ロングヒット」、「来日」、「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ」、「ニューカマー」、「AI」と5つの視点から振り返ってみました。
来年はどんなジャンルの曲がどんな形で流行るのか。またどこまでグローバル化が進むのかなど、どんな要素に注目が集まるのか楽しみなところ。
以上、【2025年の洋楽振り返り】編集部が選ぶ2025年のおすすめ曲20選でした。
2025年の洋楽年間ランキングはこちら
・洋楽ビルボード年間シングルランキング【2025年】全米チャートトップ100総まとめ
・洋楽ビルボード年間アルバムランキング【2025年】全米チャートトップ200総まとめ




