ミシェル・ブランチ、名曲を新録したEPを11月に発売「空白の14年」と現在を振り返る

BY

※本ページにはアフィリエイト広告(PR)が含まれます

洋楽コラム

ミシェル・ブランチ、名曲を新録したEPを11月に発売「空白の14年」と現在を振り返る
Photo Credit Sonya Jasinski

Michelle Branch(ミシェル・ブランチ)が2026年11月6日、過去の代表曲を新たに録音したEP『Everywhere and Back Again』をリリースします。「Everywhere」などで知られる初期作品を現在の彼女がどのように歌い直すのか、長年のファンにとっては見逃せない作品になりそうです。

7月にはBMGとの新たなグローバル録音契約も発表され、先行曲として「The Game of Love」の新録版が公開されました。ここでは、10代で大きな成功を収めたデビュー期から、ソロアルバムが途絶えた約14年間、そして現在の活動までを振り返ります。

New Radicals, Michelle Branch - The Game of Love - YouTube

10代で現れたギター・ポップの新星、日本でも大きな支持

ミシェル・ブランチは1983年に米アリゾナ州で生まれ、セドナで育ちました。10代になるとギターと作曲に打ち込み、2000年にインディーズ作品『Broken Bracelet』を発表した後、17歳でマドンナが設立したマーヴェリック・レコードと契約。2001年に発表したメジャー・デビュー・アルバム『The Spirit Room』からは、「Everywhere」、「All You Wanted」、「Goodbye to You」が相次いでヒットしました。

当時のポップシーンでは、ダンスやアイドル的な演出を前面に出す若手女性歌手が目立っていましたが、ミシェル・ブランチはギターを抱え、自ら書いた曲を歌うシンガーソングライターとして支持を広げました。

『The Spirit Room』は世界で300万枚以上を売り上げ、日本でも35万枚を超えるセールスを記録。日本レコード協会のプラチナ認定を受け、日本ゴールドディスク大賞のニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤーにも選ばれるなど、日本でも高い人気を得ています。

続く2002年には、Santana(サンタナ)の「The Game of Love」にボーカルとして参加。同曲は全米5位を記録し、グラミー賞の最優秀ポップ・コラボレーション・ウィズ・ボーカルを受賞。ミシェル・ブランチを世界的に知られる存在へ押し上げた代表曲のひとつとなりました。

2003年のセカンドアルバム『Hotel Paper』は、全米アルバムチャートで2位を記録し、「Are You Happy Now?」、「Breathe」などがヒット。日本でもオリコン週間アルバムランキングで最高8位と唯一のトップ10入りを果たし、前作に続いて日本レコード協会のゴールド認定も受けており、米国だけでなく日本でも安定した支持を得ていたことが分かります。

ソロ作品を出せなかった14年間

『Hotel Paper』から2017年の『Hopeless Romantic』まで、ミシェル・ブランチのソロ・フルアルバムは約14年間途絶えました。しかし、その間に音楽活動をやめていたわけではありません。Jessica Harp(ジェシカ・ハープ)とカントリー・デュオThe Wreckers(ザ・レッカーズ)を結成し、2006年にアルバム『Stand Still, Look Pretty』を発表。シングル「Leave the Pieces」は米カントリー・チャートで首位を獲得し、グラミー賞にもノミネートされています。ポップ・ロックで知られていたミシェル・ブランチが、カントリーへ活動の幅を広げた重要な時期でした。

ところが、ザ・レッカーズの活動が事実上終了すると、ブランチのキャリアは長い停滞期に入ります。次のザ・レッカーズ作品のために書いていた曲を使って、ソロのカントリー・アルバムを完成させましたが、ナッシュビル側からは「十分にカントリーではない」、ロサンゼルス側からは「ポップではない」と判断され、何度も録音をやり直したものの、作品は正式に発売されませんでした。その一部は2009年のシングル「Sooner or Later」や、2010年の6曲入りEP『Everything Comes and Goes』として発表されましたが、当初予定されていたフルアルバムとは異なる形でした。

その後はポップ路線へ戻り、プロデューサーのRob Cavallo(ロブ・キャヴァロ)とアルバム『West Coast Time』を制作します。2011年には先行曲「Loud Music」を発表し、ジャケットや発売日も決まり、本人も宣伝活動を始めていました。しかし、レーベル内の人事刷新によって担当者や経営陣が交代し、このアルバムも発売中止となります。

本人曰く、2007年から2014年までに、アートワークまで完成したフルアルバムを2枚制作しながら、どちらもお蔵入り。その間に録音した曲は約50曲に及んだといいます。レーベルとの契約が残っていたため、ほかの会社から自由に作品を出すこともできず、本人は曲を書き、録音を続けながら、発売の機会を待つ状態に置かれていました。

家庭では結婚や出産を経験し、子育てをしながら、ほかのアーティストとの共演や楽曲提供、ゲスト出演なども続けていました。

表舞台で見かける機会が減ったため、活動を休止していたようにも見えましたが、実際には創作を止めていたのではなく、完成した作品を思うように世に出せない期間が長く続いていたのです。

2017年の再始動から、BMGと始める新たな章へ

2014年に長年所属したレーベルとの契約を離れると、自身の生活に起きた変化をもとに新しい曲を書き始めます。

The Black Keys(ザ・ブラック・キーズ)のPatrick Carney(パトリック・カーニー)を共同プロデューサーに迎え、2017年に『Hopeless Romantic』を発表しました。初期の明るく爽快なギター・ポップとは異なり、ブルースや1970年代のロックを思わせる、暗く落ち着いたサウンドを取り入れた作品です。14年ぶりのソロ・フルアルバムは、10代のスターだった彼女が、大人のシンガーソングライターとして再び歩き始める作品となりました。

2022年には『The Trouble with Fever』をリリース。パトリック・カーニーと自宅で制作したアルバムで、「I'm a Man」、「Not My Lover」などを収録。『Hopeless Romantic』から約5年後に新作を発表したことで、長く作品を出せなかった時代を越え、再び継続的に音楽を届けられる状態へ戻ったことを示しました。

そして2026年、ミシェル・ブランチはBMGと新たなグローバル録音契約を結びました。

契約発表と同時に公開されたのが、「The Game of Love」の新録版です。オリジナル楽曲の作者でもあるNew Radicals(ニュー・ラディカルズ)のGregg Alexander(グレッグ・アレクサンダー)とともに再構築され、11月6日発売の『Everywhere and Back Again』を先行して紹介する楽曲となっています。

新EPには「Everywhere」、「All You Wanted」、「Goodbye to You」、「Breathe」など、キャリアを代表する楽曲の再録版が収録される予定で、ジャンルを越えたゲストアーティストの参加も予告されています。

また、秋には同作のタイトルを冠した北米ヘッドラインツアーも予定されており、新録作品の発表とともにライブ活動も本格化していきます。

『Everywhere and Back Again』は、単なるベスト盤のような企画ものではなく、10代で録音した曲を、レーベルとの対立や作品の発売中止、家庭生活、音楽活動の再開を経験した現在の声で歌い直す作品です。

ソロアルバムが出なかった約14年間にも、ミシェル・ブランチは曲を書き、録音を続けていました。

今回の新録EPは、初期の成功を懐かしむだけでなく、思うように作品を届けられなかった時代を経た彼女が、自らの代表曲をもう一度取り戻す機会にもなりそうです。

WRITER

洋楽まっぷ編集部

洋楽まっぷ編集部が70年代から最新の洋楽までヒット曲、また幅広いジャンルから厳選した情報をお届け致します。