【アルバムレビュー】Hiatus Kaiyote『Tawk Tomahawk(トーク・トマホーク)』

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洋楽コラム

今回のレビューはHiatus Kaiyote(ハイエイタス・カイヨーテ)によるデビュー・スタジオ・アルバム「Tawk Tomahawk(トーク・トマホーク)」

並々ならぬ実力とセンスを兼ね備えた、2010年代から今に至るまで常にフューチャー・ソウルの最先端を走り続ける彼らのデビュー作にして、衝撃を与えたアルバムです。

一度聴いたら忘れられない強烈な歌声とグルーヴを持つネイ・パーム(Vo、G)をフロントに、幼少時よりクラシック・ピアノに親しみジャズや現代音楽もバックグラウンドとするサイモン・マーヴィン(Key、G)。

加入前にはメタルバンドでプレイし、マイアミ大学でジャズ通ったポール・ベンダー(B)、ヒップホップのプロデューサーから入ったペリン・モス(Dr)の異種混合の化学反応を見せる4人バンドであるハイエイタス・カイヨーテは、2011年にメルボルンで結成されました。

ドビュッシーやスティービーワンダー、Jディラなどの影響を昇華し、瑞々しいサウンドを作り上げている彼らへの評価は非常に高く、エリカ・バドゥやプリンスなどのレジェンド達も絶賛しています。

今作にはア・トライブ・コールド・クエストのQ-TIPが参加し、グラミー賞ベストR&Bパフォーマンス部門でオーストラリアのバンドとして初めてノミネートされました。

それぞれバックグラウンドが異なる彼らですが、アニメや音楽を通しての日本文化への関心が深く、初期から来日も行うなど日本のソウルファンからも根強い人気を得ています。

楽曲に関しては、アルバム1曲目の“Mobius Streak”から「このメロディ聴いたことあるぞと。」クラシックの影響を感じるのですが、次の瞬間にはビートミュージックのアプローチが始まって衝撃を受けます。

Hiatus Kaiyote – Mobius Streak – YouTube

またネイ・パームの少しハスキーな歌声が空気感を引き締め、さらに絶妙な調和を生み出しています。つかみが完璧です。

様々な展開を見せる中、アルバム6曲目の“Boom child”。
ここまでのJdilla由来のよれたビート感もありますが、とてもロックを感じる曲になっています。

Hiatus Kaiyote – Boom Child – YouTube

ドラムの空間の使い方が非常に上手く、「あれ誰かそこでドラム叩いてないよね?」と思わず確認したくなるような臨場感があります。

全体を通しても妥協点が一個もない、とても洗練されたアルバムだと思いました。

2021年に出たばかりのニューアルバムも、別の機会でぜひ紹介できたらと思います。

■「Tawk Tomahawk」トラックリスト

1. Mobius Streak
2. The World It Softly Lulls
3. Leap Frog
4. Malika
5. Ocelot
6. Boom Child
7. Lace Skull
8. Rainbow Rhodes
9. Sphinx Gate
10. Nakamarra
11. Nakamarra (Remix ft. Q-Tip)

WRITER

TOY吉

洋楽なら幅広く聴きますが特にHIP HOP、R&B、ソウル、ファンクを好みます。

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