IFPIが2023年グローバル音楽レポートを発表!世界の録音音楽収入は10.2%増加、年間最優秀アーティストはテイラー・スウィフト

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洋楽コラム

IFPI(国際レコード産業連盟)が2023年の世界のレコード音楽収益は、主に有料ストリーミング加入者数の増加により10.2%増加したことを発表しました。IFPIのグローバル・ミュージック・レポートで発表された数字によると、2023年の総取引収益は286億米ドルに達し、9年連続の増加となっています。

先月発表された2023年の年間最優秀アーティストはTaylor Swift(テイラー・スウィフト)

この賞は、アーティストまたはグループの暦年のストリーミング、ダウンロード、および物理的な音楽フォーマットにわたる世界的な売上に基づいて計算され、その作品全体が対象となっており、テイラー・スウィフトは2014年、2019年、2022年に続き最多となる4度目の受賞となりました。

テイラー・スウィフトは昨年、『Speak Now (Taylor’s Version)』、『1989 (Taylor’s Version)』の2枚をリリースし、2022年リリースの『Midnights』、さらに記録破りのエラス・ツアーによりストリーミング・プラットフォームでの彼女のカタログ全体のエンゲージメントが高まったことで「Cruel Summer」がヒットし、『Lover』も全米アルバムチャートでトップ10に復帰。『Evermore』を含む5作が全米の週間チャート同時ランクインという偉業も達成しました。

Taylor Swift – Cruel Summer – YouTube

■グローバル・アーティスト2023
1. Taylor Swift
2. SEVENTEEN
3. Stray Kids
4. Drake
5. The Weeknd
6. Morgan Wallen
7. Tomorrow x Together
8. NewJeans
9. Bad Bunny
10. Lana Del Rey

年間最優秀グローバル・シングル賞にはMiley Cyrus(マイリー・サイラス)の「Flowers」が選ばれました。「Flowers」はオーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、パラグアイ、スイス、英国の年間チャートで1位を獲得。ビルボードのグローバル200でも年間1位を獲得しました。

Miley Cyrus – Flowers – YouTube

■グローバル・シングル2023
1. Miley Cyrus / Flowers
2. Rema, Selena Gomez / Calm Down
3. SZA / Kill Bill
4. The Weeknd, Ariana Grande / Die For You
5. Haryy Styles / As It Was
6. Yng Lvcas, Peso Pluma / La Bebe
7. Taylor Swift / Cruel Summer
8. Morgan Wallen / Last Night
9. Taylor Swift / Anti-hiro
10. Jung kook ft. Latto / Seven

これらも含め、ストリーミング収益が収益の伸びと市場全体のシェアの大部分を占めました。サブスクリプション・ストリーミングの収益だけでも11.2%増加し、世界市場のほぼ半分(48.9%)を占めました。2023年に、音楽ストリーミング・サービスの有料サブスクリプション数は初めて5億件を超え、現在、有料サブスクリプション・アカウントのユーザーは6億6,700万人を超えているものの、世帯普及率は国によって大きく異なっています。

また物理的な収益は2桁の増加率(13.4%増)となっており、デジタル収益と物理収益の両方が同時に増加したのは3年連続を記録。これはもうレコードの売り上げ増が影響していると見られますが、その大半で貢献しているのはレコードも好調なテイラー・スウィフトかもしれません。また昨年に限れば、The Beatles(ザ・ビートルズ)が新曲をリリースしたことや、The Rolling Stones(ザ・ローリング・ストーンズ)が新作アルバムをリリースしたことも影響しているかもしれません。

世界のレコード音楽収入の最大のシェア(40.9%)を代表する米国とカナダでは、2023年に7.4%増加。8.9%の収益成長を経て、世界の収益の4分の1以上(28.1%)を占めるヨーロッパは、2023年においてもレコード音楽収益において世界で2番目に大きい地域であり続け、世界で3番目に大きい地域であるアジアの収益は、14.9%増加となりました。世界第2位の市場である日本は7.6%の増加で、中国は最も高い増加率となる25.9%増となっています。

また注目すべきはサブサハラ・アフリカ地域での伸び率。有料ストリーミング収益の増加(24.5%増)に支えられて、収益は24.7%増加。南アフリカは依然として地域最大の市場であり、19.9%の成長を経て地域収益の77.0%に貢献しています。これはここ数年ブームとなっているナイジュリアのアーティストを中心としたアフロビートにあり、例えばナイジェリアのシンガー、Rema(レマ)「Calm Down」はSelena Gomez(セレーナ・ゴメス)を迎えたリミックスの人気も貢献し、「Flowers」に続く2番目のグローバル・ヒットとなっています。

Rema, Selena Gomez – Calm Down – YouTube

これらを踏まえ2024年も世界での音楽市場の盛り上がりは続いていくことが考えられます。筆者目線では米国の増加はもちろんですが、ヨーロッパ方面、アフリカ方面も注目に値すべき動きが続いており、そのカギを握るのはTikTokかもしれません。

参考情報:IFPI Global Music Report: Global Recorded Music Revenues Grew 10.2% In 2023

WRITER

酒井裕紀

洋楽まっぷ管理者。米・英の音楽チャートなどのデータを好み、70年代から最新の洋楽までヒット曲なら幅広い知識を持つ。時代毎の良さがある洋楽の魅力を少しでもわかりやすくご紹介できればと思います。

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