【2023年の洋楽振り返り】編集部が選ぶ2023年のおすすめ曲20選

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洋楽コラム

洋楽まっぷ編集部が選ぶ2023年のおすすめ曲20選をそれぞれご紹介しながら、2023年の洋楽事情を振り返ってみたいと思います。

今年は昨年にも増して多くのアーティストがワールド・ツアーを行うようになり、日本でも来日公演が爆発的に増えた1年となりました。

2024年も既に多くのアーティストがツアー・スケジュールを組んでおり、今から楽しみでなりません。

2023年の洋楽振り返り

今年は大きく分けると「洋楽という言葉で括り切れないほどのグローバル化」、「カントリー・ミュージックの台頭」、「テイラー・スウィフト」、「ビートルズ」とこの4つの視点が挙げられると思います。

この4つの視点から振り返っていきたいと思います。

洋楽という言葉で括り切れないほどのグローバル化

洋楽という言葉は一般的に西洋音楽を指しており、アメリカ方面、ヨーロッパ方面の地域を指すのが一般的ですが、年々グローバル化が進む中、近年の韓国アーティストの対応以外にも、メキシコ音楽からも世界的ヒットが誕生しました。

Eslabon Armado(エスラボン・アーマード)Peso Pluma(ペソ・プルマ)のコラボ曲「Ella Baila Sola」は全米ビルボードホット100でメキシコ発の作品のトップ10入りは史上初となるトップ10入りを果たし、ペソ・プルマは一気に世界的知名度を獲得しました。

Ella Baila Sola – Eslabon Armado y Peso Pluma – YouTube

韓国アーティストはTomorrow X Together、Stray Kids、NewJeans、Ateezが全米アルバム・チャートのビルボード200で1位を獲得。BTSやBlackpink以外にも多くのグループがチャートを制するようになっています。またBTSからはJimin、Jungkookがソロ・シングルで全米1位を獲得しました。

また南アフリカのシンガー、Tyla(タイラ)もTikTokバイラルをきっかけに世界的に注目されました。「Water」はHugh Masekela(ヒュー・マセケラ)が1968年に1位を獲得した「Grazing in the Grass」以来、55年ぶりに全米ビルボードホット100にエントリーした南アフリカ人ソリストとなりました。現在もヒットしており来年も引き続き注目です。

Tyla – Water – YouTube

このように年々洋楽という言葉で括り切れない市場になってきていると感じるものの、今年は特に本格化し、来年以降はもっと垣根を超えた世界的ヒットが誕生するかもしれません。

カントリー・ミュージックの台頭

今年のビルボードホット100では、Morgan Wallen(モーガン・ウォーレン)Jason Aldean(ジェイソン・アルディーン)Oliver Anthony Music(オリバー・アンソニー・ミュージック)Zach Bryan(ザック・ブライアン)Kacey Musgraves(ケイシー・マスグレイヴス)の5人が1位を獲得。モーガン・ウォーレン「Last Night」はソロ・アーティストでは最多の通算16週1位を獲得し、計年間で20週にわたってカントリー・ミュージックが首位を獲得するという異例の1年となりました。

他にもLuke Combs(ルーク・コムズ)がTracy Chapman(トレイシー・チャップマン)のカバー「Fast Car」が大ヒットとなり、この影響からトレイシー・チャップマンが第57回カントリー・ミュージック・アソシエーション・アワードでソング・オブ・ザ・イヤーを受賞した初の黒人女性となりました。モーガン・ウォーレンが連続首位をキープし続けたことで、ルーク・コムズのバージョンは2位を維持し続けるという、カントリー・ソングが1位2位を独占する状態が続きました。

テイラー・スウィフト

Taylor Swift(テイラー・スウィフト)の今年の活躍は米タイム誌が世界に最も大きな影響を与えた2023年の「今年の人」に選出するほど。

現在も行われているコンサート・ツアー『The Eras Tour』はまだ終わっていないにもかかわらず史上最高の収益をあげたツアーとなり、収益が10億ドルを超えた初めてのツアーとなりました。これは5年かけて9億ドルの収益を上げたElton John(エルトン・ジョン)のコンサート・ツアー『Farewell Yellow Brick Road』をわずか1年足らずで更新したことになります。

テイラー・スウィフトはこのツアーをきっかけとして過去のアルバムがリバイバル・ヒットとなり、特に『Lover』は全米ビルボード200でトップ10に返り咲きを果たしました。またビルボード200では史上初となる5枚のアルバム同時トップ10入りという驚異的な記録を作り、『1989 (Taylor’s Version)』はCD・レコードのセールスが100万枚を超え、今年1番の売上を作り、ビルボード200ではソロ・アーティストによる首位獲得数の記録を更新しました。

結果的に純粋な音楽の売上だけで個人資産10億ドル以上の「ビリオネア」の仲間入りを果たしたことが、海外メディアの分析によって報じられるなど1年でとてつもない商業的成果を上げました。

ビートルズ

The Beatles(ザ・ビートルズ)としての“最後の新曲”「Now And Then」がリリースされたことも、今年の音楽業界の重要なトピックのひとつです。

The Beatles – Now And Then – YouTube

John Lennon(ジョン・レノン)が書き、歌い、Paul McCartney(ポール・マッカートニー)George Harrison(ジョージ・ハリスン)Ringo Starr(リンゴ・スター)が練り上げ、40年以上経ってようやくポールとリンゴが完成させたThe Last Beatles Song(最後のビートルズ・ソング)。

1970年代後半、ジョンがニューヨークのダコタ・ビルにある自宅でヴォーカルとピアノによるデモを録音。1994年、妻のヨーコ・オノ・レノンは、「Free As A Bird」と「Real Love」のデモとともにこの音源をポール、ジョージ、リンゴに渡し『ザ・ビートルズ・アンソロジー』のプロジェクトの一環として、1995年と1996年にそれぞれシングルとしてリリース。「Now And Then」は実質お蔵入りとなっていました。

きっかけを作ったのはPeter Jackson(ピーター・ジャクソン)。『ザ・ビートルズ:Get Back』の監督を務めた彼はウィングナット・フィルムズのMALオーディオ・テクノロジーを使って、ジャクソン監督のチームは映画のモノラル・サウンドトラックをデミックスし、楽器とヴォーカル、そしてザ・ビートルズの会話の中の個々の声を分離することに成功。

「Now And Then」はジョンのヴォーカルとピアノを分離して、クリアで曇りのないミックスを実現し、曲を仕上げることが技術的な制限により不可能な状態でしたが、この技術によってピアノの音から分離することでオリジナルのヴォーカル・パフォーマンスの明瞭さと完全性を保つことに成功。ポールとリンゴが再び作業に入り、最後の新曲が完成しました。

MAL(machine assisted learning)というオーディオ・テクノロジーが機械支援学習を意味しており、わかりやすくAI技術と表現されるケースも。「最後の新曲」「制作過程でAIを使用」など話題性の多い曲となりました。

それでは次に洋楽まっぷ編集部が選ぶ2023年のおすすめ曲を20曲ご紹介いたします。

ヒット曲から是非聴いてほしい曲まで厳選しましたので、もし知らない曲があればこの機会に楽しんでみてください。

洋楽まっぷ編集部が選ぶ2023年のおすすめ曲20選

1. Miley Cyrus – Flowers

Harry Styles – As It Was – YouTube

Miley Cyrus(マイリー・サイラス)はこの曲で10年ぶりの全米1位を獲得。サウンドもメロディも最大限そぎ落としてシンプルに見せる技術がすさまじく、ボーカルが一番冴え渡るような構成でありながらシンプルな中にファンキーなベースラインやコーラスと、何度でもループして聴きたくなる1曲です。

2. SZA – Kill Bill

SZA – Kill Bill – YouTube

SZA(シザ)が本気出したなーと感じた1曲。極上のR&Bバラードに仕上がっていて、なぜか少しだけ懐かしく心地いいサウンドは後世に語り継がれるくらい完ぺきに近いのではないでしょうか。R&Bではあるんですが、個人的には楽曲の柔らかさがかつての「Killing Me Softly With His Song」を彷彿とさせ、決して似ているわけではないんですが歌詞とは裏腹に包み込んでくれるような包容力さえ感じます。去年もおすすめ曲として紹介しましたがここまでヒットするとは思いませんでした。

3. Måneskin – GOSSIP ft. Tom Morello

Future – WAIT FOR U ft. Drake, Tems – YouTube

Måneskin(マネスキン)らしさにTom Morello(トム・モレロ)のギターが加わるとこうもパンクになるのかと驚いた1曲。大前提カッコよくてマネスキンらしい曲なんですが、ギターソロから最後のコーラス部分は全く違うテイストになっているのがおもしろい。マネスキンが物足りないのではなくてプラス120%以上のカッコよさになっているのがいいですね。

4. Linkin Park – Lost

Sampa The Great – Let Me Be Great ft. Angélique Kidjo – YouTube

2003年のアルバム『Meteora』制作時に未発表だった曲が今年、アルバム20周年記念盤がリリースされたことで解禁。こんないい曲を残してたのかというのが第一印象。Linkin Park(リンキン・パーク)を新たな形で聴けたのも嬉しい事実でしたね。

5. RAYE, 070 Shake – Escapism.

RAYE, 070 Shake – Escapism. – YouTube

聴きなれないような構成でありながらとにかくクセになる1曲です。ドラムや分厚いサウンドもかなりカッコよくて、なによりRAYE(レイ)の圧倒的なボーカル・パフォーマンス力が光ります。

6. Billie Eilish – What Was I Made For?

Billie Eilish – What Was I Made For? – YouTube

Billie Eilish(ビリー・アイリッシュ)の曲にしては少し異質で、それは映画『バービー』のために書かれたというのも大きいのですが、ほとんどの楽曲を制作はもちろんプロデュースまで兄のFinneas(フィニアス)と2人もしくはフィニアスのみで作られることが多い中、この曲は映画のサウンドトラックに参加したAndrew Wyatt(アンドリュー・ワット)とMark Ronson(マーク・ロンソン)もプロデュースに携わっています。言い方は悪いですが聴き手が見事に商業的なな戦略に落ちてしまうような名曲です。

7. LG Malique – On Time ft. Toosii, Kiya Alexius

LG Malique – On Time ft. Toosii, Kiya Alexius – YouTube

アーカンソー州出身のラッパーLG Malique(LGマリク)の曲にToosii(トゥーシー)Kiya Alexius(キヤ・アレクシウス)が参加した曲。メロディアスでおしゃれなフロウがインパクト抜群で、コーラスから入るのですぐ「あ、好きな曲だ」と認識できてしまいます。まだまだこれから注目されそうなラッパーですがデフ・ジャムと契約していて積極的に楽曲リリースしてるので今後にも注目です。

8. Lil Durk – All My Life ft. J. Cole

Lil Durk – All My Life ft. J. Cole – YouTube

Lil Durk(リル・ダーク)のリード曲としては最大のヒットとなりました。これまでのスタイルから進化することを宣言するような1曲で、J. Cole(J.コール)はリル・ダークの主張を違う側面からサポートしています。

9. beabadoobee, Laufey – A Night To Remember

beabadoobee, Laufey – A Night To Remember – YouTube

Beabadoobee(ビーバドゥービー)と今年大躍進を遂げたLaufey(レイヴェイ)のコラボ曲。ジャジーなサウンドが2人の声にうまく交差していて完成度の高すぎる1曲になっています。

10. Tate McRae – greedy

Tate McRae – greedy – YouTube

Tate McRae(テイト・マクレー)のメロディセンス、ヒットさせるためのTikTokバイラルを狙った戦略、目の付け所なんかはピカイチなんじゃないでしょうか。TikTokバイラルをきっかけに世に出たアーティストがヒット曲を出し続けて成功を維持している例は数える程度しかなく、テイト・マクレーは間違いなく成功例だと思います。

11. Oliver Anthony – Rich Men North Of Richmond

Oliver Anthony – Rich Men North Of Richmond – YouTube

Oliver Anthony(オリヴァー・アンソニー)のこの曲の登場は今年のアメリカの音楽業界においては高めのトピックになるんではないでしょうか。低賃金、食糧貧困、高い税金、児童の人身売買、権力の集中化と政治色満載のこの曲は、共和党大統領討論会で話題になるほど。いわゆるインディーズ・アーティストがいきなり初登場で全米1位を獲得するという前代未聞の快挙となりました。

12. Chris Stapleton – White Horse

Chris Stapleton – White Horse – YouTube

Chris Stapleton(クリス・ステイプルトン)の健在ぶりをアピールするかのような1曲。ロック主導の西部劇をテーマにしており、カントリーの枠を超えブルース・ロック寄りのサウンドがとにかくカッコいい。

13. Zach Bryan – I Remember Everything (feat. Kacey Musgraves)

Zach Bryan – I Remember Everything (feat. Kacey Musgraves) – YouTube

Zach Bryan(ザック・ブライアン)とKacey Musgraves(ケイシー・マスグレイヴス)のコラボ曲。先述の通り全米1位を獲得しており、ノスタルジックな夏の失恋ソングが今年を代表する究極のデュエット・ソングとしてヒットしました。

14. Nicki Minaj & Ice Spice – Barbie World (with Aqua)

Nicki Minaj & Ice Spice – Barbie World (with Aqua) – YouTube

Nicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)とIce Spice(アイス・スパイス)のコラボ曲。こちらも映画『バービー』に使用された曲で、Aqua(アクア)の代表曲「Barbie Girl」をサンプリングているので、結構幅広い世代から人気を得た印象です。

15. The Rolling Stones – Angry

The Rolling Stones – Angry – YouTube

今年はThe Rolling Stones(ザ・ローリング・ストーンズ)も新曲をリリース。サウンドそのものは定番さもありながら聴きやすいエフェクトが施されているせいで、これぞストーンズと言えるものになってるとも言えるんですが、世代によって評価は分かれる様子。しかしそんなことを気にしないと思うような姿勢そのものがいいですね。

16. Calvin Harris, Ellie Goulding – Miracle

Calvin Harris, Ellie Goulding – Miracle – YouTube

Calvin Harris(カルヴィン・ハリス)とEllie Goulding(エリー・ゴールディング)のコラボ曲。全英シングルチャートでは通算8週で1位を獲得する大ヒットとなり、2人にとって最多首位記録を作りました。トランスに落とし込んで何度もループしたくなるようなサウンド作りが聴き心地もよくヒットにつなげました。

17. Jack Harlow – Lovin On Me

Jack Harlow – Lovin On Me – YouTube

Jack Harlow(ジャック・ハーロウ)もテイト・マクレー同様、TikTokバイラルをきっかけに世に出たアーティストがヒット曲を出し続けて成功を維持しているジャック・ハーロウ。この曲も何度もループしたくなるような曲になっているので、まだまだ来年もヒットし続けそうです。

18. Olivia Rodrigo – vampire

Olivia Rodrigo – vampire – YouTube

Olivia Rodrigo(オリヴィア・ロドリゴ)はこの曲で成功を維持し世界的なアーティストとしてさらに飛躍しました。単なるバラードではなく大胆なアレンジに加えて必要以上にハイトーンにもっていくメロディラインが楽曲のインパクトを拡大させ、ヒットにつなげました。

19. The Weeknd, Ariana Grande – Die For You (Remix)

The Weeknd, Ariana Grande – Die For You (Remix) – YouTube

The Weeknd(ザ・ウィークエンド)の2017年の楽曲がこのような形でヒットしたのは、2021年のTikTokバイラルがきっかけとなりました。ザ・ウィークエンドはこの動きを見逃さずにミュージック・ビデオを制作し、じわじわと人気を得ていた中でラジオで放送されるようになったことがヒットを後押し。ザ・ウィークエンドはさらに火をつけるためにAriana Grande(アリアナ・グランデ)を迎えリミックスを制作。これがレーベル側の要望なのかザ・ウィークエンドが考えたことなのかはわかりませんが、結果として全米1位を獲得するまでに至りました。

20. Doja Cat – Paint The Town Red

Doja Cat – Paint The Town Red – YouTube

最後はDoja Cat(ドージャ・キャット)。全アルバム『Planet Her』は世界的ヒットとなった一方でラッパーとして考えるには「ポップすぎる」と感じられSNSで批判を受け、自身はラッパーであることを強調するためにかなり方向転換したアルバムのために制作されました。19カ国でチャートの1位を獲得する成功となったことでドージャ・キャットの人気の高さが改めて証明されたと思います。

まとめ

ストリーミングサービスの多様化で多くのジャンルの曲が聴けるようになっているので、もちろん好みの問題もありますが20曲選んでみました。気に入った曲が見つかれば嬉しいです。

そして2023年の洋楽について「洋楽という言葉で括り切れないほどのグローバル化」、「カントリー・ミュージックの台頭」、「テイラー・スウィフト」、「ビートルズ」と4つの視点から振り返ってみましたが、日本と海外の違いも含め、海外の音楽市場としての動きが少しだけ伝わったかと思います。

多くのアーティストによるツアーラッシュも予想される2024年。どんなジャンルの曲がどんな形で流行るのか。またどこまでグローバル化が進むのかなど、来年も注目すべき要素の多い1年となりそうです。

以上、【2023年の洋楽振り返り】編集部が選ぶ2023年のおすすめ曲20選でした。

WRITER

酒井裕紀

洋楽まっぷ管理者。米・英の音楽チャートなどのデータを好み、70年代から最新の洋楽までヒット曲なら幅広い知識を持つ。時代毎の良さがある洋楽の魅力を少しでもわかりやすくご紹介できればと思います。

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